[故障診断と対策事例]走行すると、リアホイール周りからカタカタ異音が発生

2020年7月17日故障診断と対策事例,サブ整備記事,ホイール系

目次

車両

YAMAHA TW225

症状

走行すると、リアホイール周りからカタカタ異音が発生

考察

ドライブチェーンのグリスが切れている

ドライブチェーン 交換時期 固着したプレート・千切れたOリング

ドライブチェーンのグリスが切れていると、走行中にカタカタと異音が発生します。異音が発生した際は、既に交換時期と考えた方が良いでしょう。
もし、対処するのであれば浸透性の高いチェーンオイルの使用が望ましいです。チェーンルブがあればそちらでも結構です。
お勧めは、浸透力もあり耐久性も高く、持ちが良い「LAVEN スーパーチェーンルブプロ」です。

チェーンルブとチェーンオイルの違い

チェーンルブとチェーンオイルは異なります。違いは以下の通りです。

チェーンオイル:浸透性が高い。耐久性が低いのでメンテナンス周期が短い。
チェーンルブ:粘度が高いので耐久性が高い。雨に強い。

今回お勧めした製品は、浸透性の高いチェーンルブになります。

チェーンスライダーが破損している

チェーンスライダー 汚れ・破損チェーンスライダー 全体 摩耗チェーンスライダー 摩耗

チェーンスライダーが破損して脱落、もしくはドライブチェーンがスイングアームに接触している場合は、スイングアームと接触する事で異音が発生可能性があります。
チェーンスライダーは基本ゴムで作られていますので経年劣化する消耗品です。また、走行時の高速なドライブチェーンが接触するという過酷な状況下に置かれています。ですので、定期的に交換が望ましい部品です。
特に、10年以上経過している車両はゴムが劣化していますので交換しましょう。部品が廃盤になる可能性もありますので、チェーンスライダーの交換はお早めに。

原因

ドライブチェーン 交換時期 固着したプレート・千切れたOリング

ドライブチェーンのピン・ブッシュ・ローラー間のグリスが切れている事で、金属同士が接触して異音が発生していました。

ドライブチェーンのOリングが千切れ、プレートが固着し、ドライブチェーンが伸びていました。
ドライブチェーンが伸びると、スプロケットの噛み合わせが合わなくなるので、スプロケットの寿命も縮める事になります。

画像のような状態になるには、メンテナンスが相当行われていない事を現しています。500~1,000km程度を目安にメンテナンスすればもっと寿命は延びて、燃費も上がり、フィーリングは良くなるはずです。

エンジンの発生させた動力は、クラッチ・ミッション等の抵抗が動力を下げています。
ドライブチェーンの抵抗でも数%の動力が失われているとされています。今回のように潤滑が行われていないと、更に抵抗が増します。
ドライブチェーンに注油する前と後にタイヤを回してみると、その違いが体感できるでしょう。

対策

交換時期を迎えていますのでドライブチェーンを新品交換しました。

まとめ

  • 症状:走行すると、リアホイール周りからカタカタ異音が発生。
  • 原因:ドライブチェーンのピン・ブッシュ・ローラー間のグリスが切れている事で、金属同士が接触して異音が発生。
  • 対策:交換時期を迎えていますのでドライブチェーンを新品交換。

小ネタ

「シールチェーンはメンテナンス不要」は間違い

シールチェーンはメンテナンス不要と聞いた事が有る方がいらっしゃるかもしれませんが、それは誤った情報です。
シールチェーンも清掃・注油メンテナンスは必要で、メンテナンスを怠るとチェーンの寿命は極端に短くなります。

DID(大同工業)のシールチェーンは、15,000~20,000kmで交換目安ですが、ノーメンテナンスで悪条件での使用の場合、5000km程度で寿命を迎える場合もあります。

費用面でも大きな違いがあります。
仮に5,000kmで寿命を迎え交換するとなると、20,000km走るには新品チェーンが6本購入で約60,000円もかかる事になります。
チェーンルブとチェーンクリーナーを2セット約6,000円購入してで2万キロまでメンテナンスすれば、約54,000円も節約できます。勿論、燃費・フィーリングもメンテナンスで向上します。
メンテナンスは、壊れる前に対処して寿命を延ばす事にありますので、定期的にドライブチェーンのメンテナンスしましょう。