バイクのハブダンパー点検・交換方法
ハブダンパーが劣化するとスロットル操作に対し反応が遅れて加減速します。ゴムなので走行距離を重ねる毎に劣化するので一度点検し、ガタがある場合は交換しましょう。
今回はハブダンパー点検・交換方法について解説します。
是非、参考にして頂きたい。
整備情報
- 交換時期: ハブダンパーにガタがある場合
- 時間: 約45分
- 費用: 約2,500~15,000円
- グリス(万能グリス):約500円
- リアスタンド:約12,000円
- ハブダンパー:約2,500円(パーツリストで注文)
- ショップ工賃: 約3,000円
- 難易度: ★★★☆☆
パーツリストの使い方は、[徹底解説]バイクのサービスマニュアル・パーツリスト購入~使い方+無料マニュアル+ホンダ純正流用パーツ検索方法をご覧下さい。
ハブダンパー劣化による症状
- スロットルを開けた時、ワンテンポ遅れて加速する
- スロットルを全閉時、ワンテンポ遅れて減速する
大排気量のハイパワー車両ほどハブダンパーの劣化は早まります。
消耗品なのでメーカーに在庫があるうちに交換しておきましょう。
作業手順
1.リアホイール取り外し
リアホイールを取り外しましょう。
チェーンガードを取り外し、ブレーキキャリパーを取り外し、チェーンアジャスターを緩め、チェーンをリアスプロケットから取り外し、リアホイールを取り外し、ホイールカラー取り外して保管しましょう。
詳しくは、リアホイール取り外し・取り付け方法をご覧ください。
2.ハブダンパー点検
リアスプロケットを時計・反時計回りに揺すりガタがないか確認します。
2枚の画像を重ねて、透過しておりますが、0.1~0.2mm程度のガタですので拡大しても分からないかと思います。明らかにガタつき、リアスプロケットを引っ張り上げた際に抵抗なく上がる場合は既にハブダンパーの寿命と考え、交換する事をお勧めします。ゴムで消耗品ですので、絶版車は廃盤になる前に早めに交換しましょう。
ハブダンパーを交換すると、ドリブンフランジとホイールとのガタが無くなるのでスロットルを開けた際のリアタイヤのレスポンスが向上します。
3.ハブダンパー取り外し
スプロケットを手前に引いてドリブンフランジを取り外しましょう。
左右に揺さぶりながら引き抜くと取り外し易いです。
容易に引き抜けるようならハブダンパーは摩耗しています。
ハブダンパーを全て取り外しましょう。
4.清掃
パーツクリーナーとウエスで清掃しましょう。
もし汚れている場合でドリブンフランジがアルミ地の場合、灯油とスコッチブライトとシールはずしドライバーを使用すると汚れを除去し易いです。
汚れを落としたら、パーツクリーナーで汚れと油分を除去していきます。
食器用スポンジの緑の部分がスコッチブライトなのでハサミで切り取りお使い下さい。
スコッチブライトには研磨作用があり塗装面に使用すると傷が付きます。
もし塗装されている場合は、中性洗剤と歯ブラシを使用して汚れを除去した後水で洗い流しましょう。
ホイール側を清掃する際、ホイールベアリングに灯油が入らないようテープで養成しましょう。
まず、ウエスにパーツクリーナーを吹き付けてシール取り付け面を脱脂しましょう。
防水テープで養生し余分なテープはカッターやハサミでカットしましょう。
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ドリブンフランジ側同様、アルミ地の場合は灯油とスコッチブライトとシールはずしドライバーを使用して清掃しましょう。汚れを落としたらパーツクリーナーで洗い流しましょう。
塗装されている場合は中性洗剤と歯ブラシを使用して下さい。
落ちなかった汚れはシールはずしドライバーで局所的に落としましょう。
マイナスドライバーを使用すると角が当たり傷を発生させてしまう原因になります。
パーツクリーナーで汚れの除去・脱脂をしましょう。
養生テープを剥がしましょう。
5.ハブダンパー取り付け
ハブダンパーに油分を付着させないよう手を洗い流しましょう。
ハンドクリーナーを使用すると油分を容易に除去できるのでお勧めです。
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ハブダンパーを配置しましょう。
配置はドリブンフランジを取り付けた際に必ずハブダンパーに接触するように配置しましょう。
ハブダンパーの間違った配置
上記画像のようにハブダンパーを配置すると、ホイールにドリブンフランジが直接接触するのでホイールが破損する可能性があります。
症状として、ドリブンフランジとホイールが直接接触するようになるので金属音が発生します。
ドリブンフランジを揺すりながら押し込んで取り付けましょう。
ドリブンフランジとホイールが極力密着するまで押し込み取り付けましょう。
ドリブンフランジの押し込み具合があまいとホイールがスイングアームに取り付け出来ないので注意しましょう。
6.リアホイール取り付け
リアホイールを取り付けましょう。
アクスルシャフト・ホイールのダストシール溝・ホイールカラー万能グリスを塗布し、ホイールカラーをホイールに取り付け、つま先をタイヤ下に潜り込ませてホイールを高さ調整をしながらアクスルシャフトを挿入してチェーンの張り・アライメントを合わせ、アクスルナットを指定トルクで締め付け、ブレーキキャリパーを取り付け、ブレーキキャリパー固定ボルトを指定トルクで締め付け、チェーンガードを取り付けましょう。
詳しくは、リアホイール取り外し・取り付け方法をご覧ください。
7.タイヤに付着した油分の除去
タイヤ全周に油分が無いか確認し、油分がある場合は中性洗剤で洗い流しましょう。
パーツクリーナーを使用する場合は吹き付けた後に必ずウエスで拭き取りましょう。
パーツクリーナーを使用すると成分により滑りやすくなる場合があるので必ず拭き取りましょう。
基本的には中性洗剤で洗い流しましょう。
まとめ
- ハブダンパー点検時、スプロケットを左右に揺すってガタがあるか点検。
- ドリブンフランジ取り外し時、ドリブンフランジを左右に揺すって引き抜く。
- ハブダンパー取り付け前、ドリブンフランジ・ホイールを脱脂する。
- ハブダンパー取り付け時、ホイールとドリブンフランジの間に配置する。
- ドリブンフランジ取り付け時、ホイールと密着するように押し込む。
- ホイール取り付け時、タイヤの油分を中性洗剤で除去する。
パーツクリーナーを使用する場合は、必ずウエスで拭き取る。
Q&A
- スロットルを開けると「カン」と音がする
- ハブダンパーの配置が間違っている可能性があります。再度ホイールを外しハブダンパーの配置を確認しましょう。
- 走行中に挙動が不安定になる
- リアホイールのアライメント調整できていない可能性があります。左右のチェーンアジャスターの目盛りを同一に合わせましょう。詳しくは、チェーン張り・アライメント調整方法をご覧ください。
- ハブダンパーを取り外したのですが、各々の位置がわかりません。
- 複数ハブダンパーを取り外したと思いますが、それら各々に対して厳密な指定された位置はありません。
ハブダンパーの配置を参考にして取り付けて下さい。
- 複数ハブダンパーを取り外したと思いますが、それら各々に対して厳密な指定された位置はありません。
- ホイールをテープでシールする記述がありますが、灯油がベアリングに入ると何かデメリットがあるのでしょうか?
- ベアリング内のグリスが灯油によって流れる可能性があります。
- 養生する前にパーツクリーナーで脱脂する事は常識みたいですがその理由は何なんでしょう?
- 脱脂する理由は油分を除去する事にあります。油分がある状態でテープを貼ると剥がれてしまうので油分を除去する必要があります。
ホイール簡単用語解説
- ホイールカラー:ホイールとフロントフォーク・スイングアームの間に取り付け隙間を埋める役割
- アクスルシャフト:ホイールを保持する役割
- ダストシール:異物と雨水をホイール内部への侵入を防ぐ役割。雨水はグリスによって侵入を阻止している
- ハブダンパー:ホイールとドリブンフランジ間に配置されている動力の衝撃してホイールへ伝えるパーツ
- ドリブンフランジ:スプロケットとホイールを繋ぐパーツ
- スピードギアボックス:スピードメーターのスピードを計測するパーツ
- チェーンアジャスター:ドライブチェーンの張り調整を行う調整器
- チェーンスライダー:サスペンションが上下した際、フレームへの干渉を防ぐパーツ
ディスカッション
コメント一覧
ホイールとドリブンフランジに隙間ができてしまいます… 押し込めるようにしているのですが画像の様にピタリと当たりません…
NC29様
ご質問ありがとうございます。
隙間が出来てしまうとの事ですが、ハブダンパーの種類によってハブダンパーとホイール接触面に突起が付いている製品があります。その突起は、ホイールに差し込んで固定するのですが、もしかしたら突起がホイールに完全に入っていないのかもしれませんので、ハブダンパーの突起がホイールに入り込んで要る事を確認して下さい。突起部分に、薄くシリコングリス等を塗布すると取り付けし易いので試してみて下さい。
シリコングリスの塗布は、以前Facebookで紹介しております。
また、その突起が原因でないとした場合、プラスチックハンマーで、ハブを叩いて入れてみて下さい。それでも入らず、多少浮いてても、ホイールに取り付けられれば問題無いかと思います。