バイクのフロントブレーキパッド交換方法
パッド残量が無くなると、ブレーキは制動しなくなるばかりかブレーキディスクへもダメージを与えライフを急激に縮めてしまいます。
車検が無い排気量250cc未満の車両やユーザー車検を受ける方は、2年に1度点検して残量を確認しておきましょう。
また、ブレーキパッド残量2mm以下が交換とされていますが丁度2mmでは次の車検(2年)まで維持しない可能性が高いので早めの交換をお勧めします。
加えて、ブレーキパッドが摩耗する毎にキャリパーピストンの出量も多くなりブレーキタッチが低下します。
ブレーキパッド残量が5mm程度までがブレーキフィーリングの良い状態をキープできるかと思います。
今回は、ブレーキパッドの交換方法について解説します。
是非、参考にして頂きたい。
整備情報
- 交換時期: パッド残量が2mm以下
- 時間: 1キャリパー:30分程度
- 費用: 約3 ,000円~約12,000円
- パーツクリーナー(ゴム対応品):約1,500円
- キャリパーピストンツール:約2,000円
- ブレーキパッド(1キャリパー):約3,000円
- スポイト:約600円
- ショップ工賃: 約2,000円(1キャリパー)
- 難易度: ★★☆☆☆
※ブレーキパッド購入は、リンク先の検索窓で車種を入力して適合車種を確認した上でご購入下さい。
車種の検索例:CBR400RR
フローティングキャリパーを例にブレーキパッド交換を行います。
対抗ピストンキャリパーの整備内容は、フローティングキャリパーと大差ありませんが仕組みが多少異なります。
フローティングは、片側のみからピストンを押し付けるのに対し、対抗ピストンキャリパーは両側から押し付けます。
フローティングキャリパーの方が仕組みが難しいと思います。
対抗ピストンキャリパーの方が構造を容易に理解できると思うので、本記事とサービスマニュアルを参考に整備して頂きたいと思います。
作業手順
1.ブレーキパッド取り外し
リザーバータンク周辺をウエスで覆いましょう。
ブレーキフルードがこぼれて塗装面に付着すると塗装が剥がれるので、ウエスで覆い塗装剥がれを予防します。
リザーバータンクキャップを取り外しましょう。
リザーバータンクの固定ネジはナメやすいのでドライバーを強めに押し付けて(押し8割、回し2割)取り外しましょう。
ダイアフラムプレートとダイアフラムを取り外しましょう。
ブレーキリザーバータンクの仕組みとして、ブレーキパッドは摩耗するとブレーキフルードを多くキャリパーに送り込みます。
すると、リザーバータンク内が負圧になるのでタンクキャップ溝から空気をリザーバータンク内部に負圧状態を無くし、大気圧状態を作ります。
詳細は、ブレーキリザーバータンクの役割と点検箇所をご覧下さい。
ブレーキフルードをスポイトで抜き取りましょう。
底が見えるまで抜き取って頂いて構いません。
スポイトは容量10mlの製品がお勧めです。
バイク整備において使い勝手がよいです。
ブレーキフルードが塗装面に付着した場合
濡れたウエスで拭き取るか、水で洗い流しましょう。
ブレーキフルードは水を吸収する性質があるので水で除去できます。
水が近くにない場合は、パーツクリーナーで除去して下さい。
ワコーズ BC-9のような樹脂に対応した製品が無い場合は、樹脂NGのパーツクリーナーで良いので吹きつけてウエスで拭って除去して下さい。
リザーバータンク内に汚れがある場合は、ウエスを使用して拭き取りましょう。
車検がない250cc未満の車両にブレーキフルードが固形化した汚れがある場合が多いです。
ブレーキフルードを長期に渡り交換しない為に発生します。
可能なら、ブレーキラインを一度オーバーホールするとより安心してブレーキ性能の向上(本来の性能)も期待できます。
キャリパーのピンプラグを取外しましょう。
ピンプラグを外すと、パッドピンが現れます。
ピンプラグは固着しているとナメやすい箇所なので、固着気味のと感じたら迷わずショックドライバーを使用しましょう。
反時計回りにテンションを掛けて、重いハンマーで叩くと外しやすいです。
詳しくは、ショックドライバーの使い方をご覧下さい。
パッドピンを緩めましょう。
現時点では取り外すのでは無く、緩めるのみです。
パッドピンはキャリパーを取り外してからでは緩めにくいので、キャリパーがフォークに装着されている段階で緩めます。
ブレーキキャリパーを取り外しましょう。
キャリパーは、2本のボルトでフロントフォークに取り付けられているので緩めて取外しましょう。
取り外し時は、ホイールとキャリパーに傷が付かないようにキャリパーをウエスで覆い、キャリパーピストンを少し押し戻して取り外しましょう。
詳しくは、フロントブレーキキャリパー取り外し・取り付け方法をご覧下さい。
初めに緩めておいたパッドピンを取り外します。
ブレーキパッドとパッドスプリングを取り外しましょう。
パッドピンを取り外すとブレーキパッドが外れます。
パッドスプリングは、ブレーキパッドにテンションを掛けて脱落しないようにするパーツです。
取り外すには、手前に引き抜けば外れます。
このほかに、ブレーキパッドの裏側に金属か紙質のようなもので、シムが純正で取り付けられています。
シムも保管して下さい。
交換せず再度取付ける場合、ブレーキパッドに装着位置をマーキングしましょう。
ブレーキパッド装着位置の区別がつくようにマーキングしておきましょう。
ブレーキパッドには、「R Fork」「R Wheel」と書いてあります。
意味は、「右キャリパーのフォーク側」「右キャリパーのホイール側」。
- R:Right(右キャリパー)
- L:Left(左キャリパー)
- Fork:Fork(フロントフォーク側)
- Wheel:Wheel(ホイール側)
ブレーキパッドの装着位置をマーキングする理由
ブレーキパッドの形には、2タイプあります。
上記画像のように、ブレーキパッドの形が対称ではないタイプ。
参考車両のCBR400RRもこちらのタイプ。
上記画像のように、ブレーキパッドの形が対称のタイプ。
このタイプは、取り外してから取り付ける際に左右どちらに付いていたのか分からなくなる可能性があります。
間違って取り付けると制動力低下の要因になる為マーキングする事をおすすめします。
キャリパーをフロントスタンドに吊るしましょう。
ブレーキホースに負荷を掛けない配慮です。
フロントスタンドが無い場合はそのままぶら下げておきましょう。
但し、長時間放置する場合はフロントフォークに取り付けて仮止めしておきましょう。
ブラケットを引いて取り外しましょう。
対抗ピストンキャリパーはこのブラケットが取り付けられていません。
フローティングキャリパー独自のパーツです。
リテーナーはブラケットに装着されています。
上記画像の赤枠のように、爪で固定されているだけなのでマイナスドライバー等を使用して浮ければ容易に外れます。
2.清掃
パッドピンをパーツクリーナーとウエスで清掃しましょう。
汚れが頑固な場合は、キャブレタークリーナーを使用すると除去し易いです。
パッドピンを人差し指の腹で触り、段付きが発生している場合は交換しましょう。
パッドスプリングをパーツクリーナーとウエスで清掃しましょう。
こちらも汚れが頑固な場合は、キャブレタークリーナーを使用すると除去し易いです。
パッドリテーナーをパーツクリーナーとウエスで清掃しましょう。
こちらも汚れが頑固な場合は、キャブレタークリーナーを使用すると除去し易いです。
キャリパーピストンをパーツクリーナーとウエスとキャリパーピストンツールで清掃しましょう。
キャリパーピストンツールを使用し、ピストンを回転させて裏側も清掃します。
こちらも汚れが頑固な場合は、キャブレタークリーナーを使用すると除去し易いです。
キャリパーピストンツールでピストンを出し、ピストン奥側も清掃しましょう。
多く出しすぎると、ピストンが脱落するので注意。
清掃後は、キャリパーピストンをキャリパー側に押し戻しておきましょう。
リザーバータンクの液面が上昇するので、溢れないよう注意しながら押し戻して下さい。
汚れが落ちない場合の対処方法
キャブレタークリーナーを使用します。
お勧めはヤマハ製キャブレタークリーナーです。
肌に触れるだけで痛くなる程強力なのでゴム手袋をして作業しましょう。
歯ブラシを使用すると凹凸も磨くことができます。
固まっているカーボンは精密マイナスドライバーを使用すると綺麗になります。
ゴム手袋購入はこちら
ヤマハキャブクリーナー購入はこちら
精密ドライバー購入はこちら
キャリパー固定ボルトには、ネジロック剤が使用されている場合があります。
キャリパー側のメネジと固定ボルトのオネジには、タップ・ダイスを行いましょう。
詳しくは、タップ・ダイスの使い方をご覧下さい。
また、パッドピンとキャリパー側メネジにもタップ・ダイスを立てましょう。
該当するタップ・ダイスのサイズが無ければ固めの歯ブラシでダストを除去して下さい。
締め付けトルクに変化をもたらす原因は汚れなので、汚れを除去するだけで正確な値に近づきます。
3.揉みだし
揉みだしはシールの本来の機能を妨げます。
しかし、メリットも多くあるのでオーナーが判断して実施して下さい。
詳しくは、キャリパーピストンの揉み出しはシールの原理を阻害する矛盾整備!?をご覧下さい。
キャリパーピストン回りにシリコングリスを塗布します。
キャリパーピストンツールを使用してキャリパー内を出し入れします。
この時、反対側のキャリパーピストンを必ず手で押さえて出し入れして下さい。
片側のピストンを押し入れると反対側のキャリパーピストンは出てきて脱落する場合があります。
キャリパーピストンを押し戻す事により、リザーバータンクからブレーキフルードが溢れる可能性があります。
リザーバータンクを確認しながら揉みだしを行いましょう。
もし溢れそうならスポイトで吸い取って下さい。
4.点検
上記画像が新品時の正常なキャリパーピストンです。
虫食い等無く綺麗な状態です。
上記画像が虫食いが発生したキャリパーピストンです。
ピストン表面のメッキが剥がれているのが確認できるかと思います。
対処方法は、ピストン新品交換です。
部品が廃盤の場合、再メッキを依頼します。
交換の目安は、メッキが剥がれている箇所がダスト・オイルシールと接触しているかが判断基準です。
ピストンのメッキが剥がれている箇所がシールに接触すると、キャリパーピストンとシール間に隙間ができ雨水の侵入やブレーキフルード漏れの原因になります。
上記画像の場合、メッキ剥がれ箇所とシールは接触していないので現状のブレーキパッドは継続使用可能です。
しかし、次回新品ブレーキパッドを組む際にブレーキパッドの厚みが多くなるのでキャリパーピストンが戻る量が多くなりシールと接触する可能性があるのでキャリパーピストンも同時交換となる可能性があります。
5.ブレーキパッド取り付け
ブレーキパッド裏とパッドピンにグリスを薄く塗布しましょう。
多く塗布すると、雨水で流れて制動力を低下させる可能性があります。
お勧めのグリスは、コパスリップです。
耐熱性・電導性が良いので、用途が上記のような鳴き止めやアース等の接点グリスとしても使用できます。
使用範囲が広いので、鳴き止めグリスや接点グリスを揃える必要はありません。
フォーミュラ1(F1)で使用されている実績あるグリスです。
他には、スレッドコンパウンドか耐熱性に優れた万能グリスを使用すると良いでしょう。
スライドピン・スライドピン穴にシリコングリスを塗布しましょう。
ゴムパーツに関するグリスは、基本シリコングリスを使用します。
パッドリテーナーを取り付けましょう。
リテーナーが外れやすい場合、上記画像赤枠のツメを内側に若干曲げましょう。
若干曲げることで挟むテンションを強める事ができます。
プライヤーを使用すると調整できます。
キャリパーにブラケットを取り付けましょう。
固定するパーツは無いので押し付けるのみで構いません。
パッドスプリングを取り付けましょう。
パッドスプリングが外れやすい場合、上記画像赤枠のツメを内側に若干曲げましょう。
リテーナー同様、若干曲げることでテンションを強める事ができます。
プライヤーを使用すると容易に調整可能です。
はみ出たグリスは、綿棒などで拭き取りましょう。
砂やホコリを拾って汚れの原因になります。
ブレーキパッドを取り付けましょう。
ブレーキパッドのマーキングを見て装着位置を確認しブレーキパッド内側には手を触れずに取り付けましょう。
既存のブレーキパッドを再装着する場合、ブレーキパッド位置が変わるとブレーキディスクとブレーキパッドの当たりが変わるので制動力が低下します。
基本、パーツを取り外したら元の位置に戻しましょう。
ブレーキパッドの内側に手を触れると多少の油分であっても制動力が低下します。
手が汚れている場合は、パーツクリーナーで手の油分を落とすか洗剤で洗ってから取り付けましょう。
パッドピンを取り付けましょう。
パッドピンを挿入してブレーキパッドを仮止めします。
上記画像のように、キャリパーを水平にして取り付けるとパッドピンが挿入し易いです。
ブレーキレバーを握りながらブレーキキャリパーを指定トルクで締め付けましょう。
握りながら締め付ける事でブレーキパッドが当たりの良い箇所へ移動し僅かにブレーキタッチのフィーリングの向上が期待できます。
詳しくは、フロントブレーキキャリパー取り外し・取り付け方法をご覧下さい。
また、ブレーキレバーを握ると最初の数回はブレーキレバーの感触が無い状態ですが3,4回握ると感触が元に戻ります。
ピストンがキャリパー側に押し戻されている状態なので、何度か握ると感触が元に戻ります。
但し、BMWなどの車種にはエンジンを始動させないとフィーリングが元に戻らないものもあります。
パッドピンを指定トルクで締め付けましょう。
ねじ山に汚れが付着しているとトルクレンチが正常に機能せずネジがナメる場合があるので、汚れを除去してからトルクレンチの中心線を基準に垂直に力をかけましょう。
詳しくは、トルクレンチの使い方をご覧下さい。
ピンプラグを取り付けましょう。
ナメてしまったら新品部品を注文して次回交換すると良いでしょう。
ブレーキフルードをUPPERまで補充しましょう。
LOWERからUPPERの中間位置ではなく、UPPERまで補充します。
ブレーキフルードが少ないとブレーキパッドが摩耗した際にエアが噛む可能性があるのでUPPERまで補充しましょう。
また、リザーバータンクキャップの溝とダイヤフラムプレートの穴に異物が付着している場合は除去して下さい。
リザーバータンクを大気圧状態にする重要な役割があります。
詳しくは、ブレーキリザーバータンクの役割と点検箇所をご覧下さい。
ブレーキレバーを握り感触があるか確認しましょう。
まとめ
- ピンプラグ取り外し時、固着気味ならショックドライバーを使う。
- ブレーキパッド取り外し時、マーキングを行う。
- ブレーキパッド取り外し後、キャリパーピストンの清掃を行う。
- 清掃時、ボルト類にキャリパーとパッドピンにタップ・ダイスを掛ける。
- 清掃時、パッドピン・ブレーキパッド・ブラケット可動部にグリスアップを行う。
- ブレーキパッド取り付け時、ブレーキレバーを握りながら指定トルクで締め付ける。
- ブレーキパッド取り付け後、リザーバータンクのブレーキフルードをUPPERレベルまで注ぐ。
- 試走前に、ブレーキレバーを握りブレーキが機能しているか確認。
Q&A
- ピストンを清掃する際、片方のピストンを押したらもう片方のピストンが出てきて脱落した。
- 必ず、手やブレーキパッド等で片側のピストンを抑えましょう。
ピストンが脱落した場合、キャリパーにピストンを挿入してエア抜きを行いましょう。
- 必ず、手やブレーキパッド等で片側のピストンを抑えましょう。
- ピストンを押し戻した際、リザーバータンク内のフルードが溢れてしまった。
- ピストンを押し戻すと、リザーバータンク内の油面(フルード量)が上昇します。
スポイトでリザーバータンクのフルードを抜き取り適宜、油面を確認しながらピストンを押し戻しましょう。
- ピストンを押し戻すと、リザーバータンク内の油面(フルード量)が上昇します。
- フルードがキャリパーやリザーバータンクに付着して塗装が剥げていた。
- ブレーキフルードが付着したらパーツクリーナーもしくは水を使用して拭き取りましょう。
- ブレーキレバーを握っても感触が無い。
- キャリパー脱着後の最初の数回は感触が有りません。
何度が握る事で感触が戻ります。
改善されない場合はエアが噛んでいるので詳しくは、ブレーキフルード交換(エア抜き)方法をご覧下さい。
- キャリパー脱着後の最初の数回は感触が有りません。
- ブレーキレバーのタッチフィーリングが悪化した。
- キャリパーピストンを清掃せずにキャリパー側に押し戻すと、ピストン回り付着していたダストが、キャリパーピストンとシールの間に入り込みブレーキのフィーリングが低下する場合があります。
具体的にはブレーキレバーの動作が重くなるようなフィーリングになります。対策として、清掃をした後揉みだし作業を行う事で改善が期待できます。
最善の対策は、キャリパーをオーバーホールする事です。保管・使用環境に左右されますが、目安として5年に一度はキャリパーをオーバーホールすると本来の性能を損なう事なく維持できるかと思います。意外にも汚れはシール溝・ピストン周囲に貯まります。
- キャリパーピストンを清掃せずにキャリパー側に押し戻すと、ピストン回り付着していたダストが、キャリパーピストンとシールの間に入り込みブレーキのフィーリングが低下する場合があります。
- リザーバータンクキャップの取り付けねじがナメた。
- フローティングキャリパーのキャリパーピストンが固着してキャリパーピストンツールでも回転しないのですが、どうすれば良いでしょうか?
- 対策方法は、キャリパーのオーバーホールです。固着する原因は、キャリパーのシール溝の間に異物が溜まる、もしくはキャリパーピストンとシール間に異物が溜まる事によりシールが押し出されてキャリパーピストンの固着が発生します。フローティングキャリパーのオーバーホールの作業手順として、リザーブタンクのブレーキフルードをスポイトで吸い取った後、キャリパー側のバンジョーボルトを緩めてブレーキフルードを排出しキャリパーを取り外します。次に、ウエスを何枚か重ねその上にキャリパーピストンを下に向けるように置きます。次に、エアーガンを用意して、バンジョーボルトの穴からエアーを入れると物凄い勢いと音でキャリパーピストンが出てきます。エアーが漏れてキャリパーピストンが出てこない場合は、タオルを2、3折りにして重ねてバンジョーボルト穴に割り込ませた上からエアーガンで吹くとエアーが漏れるスピードより充填されるスピードの方が早いのでキャリパーピストンが出てきます。
※絶対にキャリパーピストンの下に指を入れないで下さい。指が骨折する危険性があります。また、キャリパーピストンを上側に向けないで下さい。自分の顔や体に飛んで来るので非常に危険です。圧縮された空気によって、キャリパーピストンは弾丸の如く飛びます。非常に危険なので作業は慎重に細心の注意を払いながら行って下さい。
オーバーホールの目安は、4、5年周期に行うと性能を維持できます。
キャリパーは定期的にオーバーホールする必要があるパーツです。
- 対策方法は、キャリパーのオーバーホールです。固着する原因は、キャリパーのシール溝の間に異物が溜まる、もしくはキャリパーピストンとシール間に異物が溜まる事によりシールが押し出されてキャリパーピストンの固着が発生します。フローティングキャリパーのオーバーホールの作業手順として、リザーブタンクのブレーキフルードをスポイトで吸い取った後、キャリパー側のバンジョーボルトを緩めてブレーキフルードを排出しキャリパーを取り外します。次に、ウエスを何枚か重ねその上にキャリパーピストンを下に向けるように置きます。次に、エアーガンを用意して、バンジョーボルトの穴からエアーを入れると物凄い勢いと音でキャリパーピストンが出てきます。エアーが漏れてキャリパーピストンが出てこない場合は、タオルを2、3折りにして重ねてバンジョーボルト穴に割り込ませた上からエアーガンで吹くとエアーが漏れるスピードより充填されるスピードの方が早いのでキャリパーピストンが出てきます。
- フロントフォークからオイル漏れしてブレーキパッドに付着してしまったのですが、脱脂して再利用しても良いですか?
- オイルがブレーキパッドに付着した場合は、ブレーキパッドを清掃して脱脂しても性能は元には戻らないので交換を推奨します。
ブレーキは様々なパーツの中で命を預ける最も重要なパーツです。
HONDAからも交換が推奨されています。
- オイルがブレーキパッドに付着した場合は、ブレーキパッドを清掃して脱脂しても性能は元には戻らないので交換を推奨します。
- ブレーキパッドは面取りしたほうが良いのでしょうか?
- 摩耗が無い新品ブレーキディスクに対して新品ブレーキパッド(有名所のブランド)を取り付けるのであれば、ブレーキパッドの面取りは必要ありません。
近年のブレーキパッドは精度が良いのか面取りしなくても鳴くケースが少ないです。
ブレーキパッドの面積は小さいですが、面取りすると更に接地する面積が少なくなり無くなった面積分を他の面積でカバーする事になるので比較的発熱が早くなります。また、ブレーキの利きも弱くなるのでその分多くブレーキペダルを踏む事でブレーキパッドの摩耗も早くなります。発熱による摩耗も早くなる事でしょう。なので、可能な限り面取りせず鳴きが発生した段階で面取りをする事をお勧めします。
既存の摩耗したブレーキディスクに新品ブレーキパッドを取り付ける場合は、ブレーキパッドの上・下側の面取りを行う事をお勧めします。摩耗したブレーキディスクに新品のブレーキパッドを組んでもブレーキパッド全面がフラットに接触するわけではありません。ブレーキディスクは摩耗すると、外側・内側がブレーキパッドに当たらず新品の状態で残るので山になっています。加えて、内側と外側では回転数が異なるのでブレーキディスクの外側が早く摩耗します。後者の摩耗は仕方ないですが、前者の外側・内側の山は新品ブレーキパッドを組んだ際にブレーキパッドのサイズが大きい為にブレーキディスクの山に乗り上げてしまい、新品ブレーキパッドを組んでも制動力が低下する場合があります。なので、既存のブレーキディスクに新品ブレーキパッドを組む場合はブレーキパッドの上下部分の面取りを行う必要が出てきます。
- 摩耗が無い新品ブレーキディスクに対して新品ブレーキパッド(有名所のブランド)を取り付けるのであれば、ブレーキパッドの面取りは必要ありません。
- ブレーキフルードは水で除去出来るものなのでしょうか?
- ブレーキフルードは水を吸収する性質(吸湿性)があるので水で除去できます。
- なぜキャリパーを車体に取り付けた段階でパッドピンを取り外さずに緩めるのでしょう?また、その段階でパッドピンを取り外してブレーキパッドを交換したほうが効率が良いのではないでしょうか?
- キャリパーを取り外してからではパッドピンを緩め難いのでキャリパーに取り付けた段階で緩めます。
キャリパーを車体に取り付けた段階でブレーキパッドを交換しない理由として、まずブレーキパッドは新品を取り付ける事が前提ですと消耗したブレーキパッドより厚みがある分キャリパーピストンを押し戻さなければなりません。押し戻すのはキャリパー取り付け状態だと困難です。また、キャリパーピストンの周囲には汚れが付着しており、その状態でキャリパーピストンを押し戻すと汚れがキャリパーピストンとダストシール・オイルシール間に入り込んでキャリパーピストンの動きが悪化するので清掃する必要があります。以上の2点が車体から取り外して交換する理由です。
- キャリパーを取り外してからではパッドピンを緩め難いのでキャリパーに取り付けた段階で緩めます。
ブレーキ簡単用語解説
- ブレーキパッド:ブレーキディスクと接触する事で熱エネルギーを発生させる代わりに速度を落とす。キャリパーに装着されている。
- パッドスプリング:ブレーキパッドにテンションを与えブレーキパッドの脱落防止の役割。
- パッドピン:ブレーキパッドを保持する役割。
- ピンプラグ:パッドピン脱落防止の栓
- シム:ブレーキの鳴き防止とブレーキフルードへの断熱の役割。
- ブレーキディスク:ブレーキパッドと接触する事で熱エネルギーを発生させる代わりに速度を落とす。ホイールに装着されている。
- ブレーキキャリパー:ブレーキパッドをブレーキディスクへ押さえつける役割。
- キャリパーピストン:ブレーキパッドを押す
- ダストシール:キャリパーピストンとキャリパーの間に配置され、雨水やほこりをキャリパー内に入り込ませない役割。
- オイルシール:キャリパーピストンとキャリパーの間に配置され、キャリパー内のブレーキフルードを留めておく役割。
- リザーバータンク:ブレーキフルードを一時的に保管する場所。ブレーキフルードが減少すると外から空気が補充して常に大気圧をちブレーキフィーリング低下を防ぐ。
- ブリーダー:ブレーキフルード交換時にブレーキフルードを排出する役割。
- ブレーキマスター:ブレーキフルードを圧送する役割。
- ブレーキレバー:ブレーキマスターのピストンを押し、ブレーキマスターを機能させる役割。
- テールランプ::後続車へ走っている事を知らせる車体後方のライト。
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