[故障診断と対策事例]エンジンの始動困難、始動後アイドリングが高くなり、エンジン回転数の戻りが悪くなる

2020年7月17日故障診断と対策事例,サブ整備記事,吸気&排気系

目次

症状

エンジンの始動が困難で、エアフィルター側をウエスで大部分を塞ぐとエンジン始動。
始動後、アイドリングが高くなり、エンジン回転数の戻りが悪くなりました。

原因

インシュレーター 多数のひび割れ

経年劣化により、インシュレーターにひび割れが発生しており、ひび割れからエアーを吸い込み混合比が薄くなっていました。つまり、ガソリンより空気の割合が多くなっている状態です。
2サイクルエンジンなら焼付く可能性がありますので要注意です。

アイドリングが高くなり回転数の戻りが悪いのもエアーの流量が多い症状です。
始動困難な理由も同じで、ウエスで空気の量を少なくした為に混合比が濃くなり、始動が出来ました。
因みに、チョークも同じ仕組みで、キャブレターの通路をバルブで狭めて濃くしています。
インジェクション車の場合にも、チョークがあるタイプもあります。

対策

インシュレーター ひび割れ 液体シリコーンガスケット塗布後

通常でしたら、交換ですが今回は応急処置方法として、液体シリコーンガスケットを塗布してひび割れを埋め込みました。
ひび割れを埋め込む事で、エアーの吸い込みを阻止します。
但し、ひび割れが深い場合は埋め込む事は出来ない場合がありますので、直ちに交換しましょう。

まとめ

  • 症状:エンジンの始動が困難で、エアフィルター側をウエスで大部分を塞ぐとエンジン始動。始動後、アイドリングが高くなり、エンジン回転数の戻りが悪くなりました。
  • 原因:経年劣化により、インシュレーターにひび割れが発生しており、ひび割れからエアーを吸い込み混合比が薄くなっていました。
  • 対策:液体シリコーンガスケットを塗布してひび割れを埋め込みました。

小ネタ

インシュレーター

インシュレーターのひび割れが発生している状態は、既に寿命を迎えている事を意味しています。また、ひび割れを交換の判断基準にするのではなく、「硬化の有無」で判断すると良いでしょう。
インシュレーターからキャブレターを外した際に、外し難いと硬化している場合があります。インシュレーターのバンドを外した後、手でインシュレーターを潰してみて、潰れないようなら硬化していると判断すると良いでしょう。インシュレーターは消耗品ですので、硬化しているとバイクショップの整備士が判断すればお客様と相談して交換します。費用の関係で、今回のようにシリコーンガスケットでひび割れを埋め込んで対応する場合もあります。7~8年経過すれば、基本的に純正部品は倉庫にある在庫で終わりと思いましょう。なので早いもの勝ちな状態になりますので、無くなる前に早めの交換がお勧めです。