サーモスタットとは

2017年12月17日バイクパーツ用語解説

サーモスタットは、温度を一定に調整する役割を持つパーツです。
故障してサーモスタットが動作しなくなると、オーバークール・オーバーヒートするのでパワーダウン・熱ダレ等、エンジン不調の原因になります。

今回は、サーモスタットの役割や仕組み等について解説します。
是非、参考にして頂きたい。

目次

サーモスタットとは

サーモスタットハウジング サーモスタット 取り付け3

サーモスタット
画像引用:http://www.carlifesupport.net/

エンジンの温度を一定に調整するためのパーツです。
サーモスタットの設定された温度になると開閉して設定温度に保つ役割があります。また、暖機を早める役割もあります。

サーモスタットは、多くの場合水温が60℃付近で開き始めて、水温80℃付近で全開になります。
エンジンは熱が入った状態で最適なクリアランスになるように作られており(水温で言えば80度位)、エンジン始動後、水温が60度位に上がらないとサーモスタットは開きません。つまり、その60度まで水温が上昇するまでの間、ラジエーターには冷却水が流れてこず、エンジン内で循環しているだけなのです。

その証に、サーモスタットの点検方法でも解説しておりますが、エンジン始動後、ラジエーターの下部を触ると冷たい状態です。
水温計を見てて60度位になると徐々にサーモスタットが開き始めてラジエーターにエンジン内で循環していた冷却水が流れてきます。60度なので熱くて触っていられなくなりますので点検する方は火傷に注意して下さい。

サーモスタットの仕組み

サーモスタット 仕組み
画像引用:http://www.1techicon.com/

サーモスタット内部にワックスが封入されており、エンジンの温度が上がると冷却水の温度も上がり、ワックスの温度も上がります。
すると、ワックスが膨張してスプリングの力が上回った時(約60℃)にサーモスタットの弁が開いて冷却水をラジエターに送り出す仕組みです。
弁が全開になる温度が約80℃です。

サーモスタット 閉まっている状態-2

温度計 90度

サーモスタットの弁が開くとは、このような状態です。
90度ですので、これがサーモスタットの弁が全開の状態です。開いた隙間から冷却水が流れてラジエーターへと送られます。

ラジエターに冷却水が流れるまでの一連の流れ

  1. エンジン始動
  2. エンジンの温度が上がり、シリンダ・シリンダヘッド内部を通っている冷却水の温度も上がる
  3. ウォーターポンプにより、エンジン内部の冷却水が循環される
  4. 冷却水の温度が60℃付近になる
  5. サーモスタットの弁が開く
  6. ラジエターに冷却水を流す
  7. ラジエター内の冷却水がサーモスタットの弁からエンジンに流れる(走行しているので冷却水は冷たい状態)
  8. 冷却水を80℃付近で一定に保つ

サーモスタットが故障している場合の症状

サーモスタットが劣化すると、開いたまま閉じ無くなる場合か反対に閉じたまま開かなくなる場合があります。
各症状は、以下の通りです。

  • 弁が閉じたままの状態:水温が上がり続けるので、水温計の針が振れエンジンはエンジンレスポンスが悪くなりアイドリングが不安定(熱ダレ)になります。いわゆるオーバーヒート状態になります。
  • 弁が開いたままの状態:水温が上がらないので、水温計の針が振れずエンジンは回りますがパワー感が無くなります。いわゆるオーバークール状態になります。

交換時期

サーモスタット 取り外し

通常、故障してから交換となります。
サーモスタット点検方法の簡易点検で、故障していると判断したら詳しく点検してみると良いでしょう。
点検で故障していない場合、年数(約10年)や距離(約10万km)を走っていたらこの機会に交換するのも良いと思います。
部品が廃盤になると直せないので、長く乗りたい方は早めに部品の入手をお勧めします。
[まとめ]サービスマニュアル・パーツリストノウハウ
純正部品の見積もり・発注

サーモスタットが取り付けられている箇所

サーモスタットハウジングサーモスタット 取り外し後

シリンダヘッドからラジエターまでの間にサーモスタットケースの内部に取り付けられています。
サーモスタットケースには、2本以上のラジエターホースが取り付けられており、サーモスタットケースが盛り上がっています。

サーモスタット交換費用

サーモスタット:約2000円
ガスケット:約500円
冷却水:約1,000~2,000円
合計:約3,500~4,500円

サーモスタットの点検

サーモスタット点検方法

サーモスタット点検方法

サーモスタットの交換方法


サーモスタット点検・交換方法

サーモスタット交換方法

まとめ

  • サーモスタットは、温度を一定に調整するためのパーツ
  • サーモスタットの開き始めは約60度。全開は約80度
  • サーモスタットが故障すると、オーバーヒート(熱ダレ)・オーバークール(パワーダウン)になる
  • サーモスタットの交換時期は、通常故障してから交換。あるいは、約10年もしくは約10万キロ
  • サーモスタットの交換費用は、約5000円

Q&A

  • アイドリング状態で放置したら、エンジンはオーバーヒートしますか?
    • ラジエターにファンが取り付けられていなければ、いずれオーバーヒートするでしょう。
      街中走行でオーバーヒートするようなら、冷却水を性能の良い製品に交換したり、水の割合を多くする事で対応します。
      添加剤やエンジンオイルでも改善します。
  • ローテンプサーモスタットとは?
    • スポーツ用サーモスタットともいい、純正のサーモスタットに比べ低い冷却水の温度で作動するサーモスタットです。
      スポーツ走行時など、エンジンが高温になる状況下で冷却水の循環を早める事で、熱によるパワーダウンを防ぐ事が出来ます。