バイクのプラグ交換方法
プラグ交換時はプラグホールにエアブローして異物を排出してからプラグを取り外しましょう。
エンジン内部に異物が入り込むとシリンダー壁を傷だらけにする場合があるので注意しましょう。
今回はプラグ交換方法について解説します。
是非、参考にして頂きたい。
整備情報
- 交換時期: 約3,000~5,000km
- 時間: 約5~30分
- 費用: 約500~1,000円
- プラグ:約500~1,000円
- ショップ工賃: 約500~2,000円
- 難易度: ★★☆☆☆
作業手順
1.プラグの取り外し
参考車両の場合、作業の支障となるイグニッションコイルのステーを取り外します。
参考車両の場合、ラジエターの固定ボルトを取り外してラジエターを前方に出します。
プラグホールの上に被さるようにヒートガードが取り付けられており、ラジエターの上部のフックに取り付けられており外さないとプラグを取り外す事が出来ません。
ラジエターのツメを立てた後ヒートガードを取り外します。
走行中に小石や砂ぼこりを巻き込んでシリンダヘッド周辺に付着しているのでエアブローしましょう。
プラグキャップをシリンダヘッドに対して垂直に引いて取り外しましょう。
プラグキャップが繋がっていた気筒へマーキングをしておくと良いでしょう。
車体に跨った状態で左から1番2番3番4番と数えます。
プラグホールをエアブローして異物を排出して下さい。
異物が入っているとプラグを外した際にエンジン内に侵入してしまうので必ずエアブローしましょう。
プラグレンチをプラグホールから挿入してプラグに取り付けましょう。
プラグレンチがフレーム等に接触して入らない場合は車載工具に入っている純正のプラグレンチを使用しましょう。
プラグレンチをメガネレンチを使用して緩めましょう。
緩まない場合はスピンナハンドルにソケットを付けて緩めると良いでしょう。
プラグホールに接触しないように慎重にプラグを引き抜いて取り外しましょう。
プラグホールに接触すると異物が落ちてエンジン内に入り込む可能性があるので注意しましょう。
取り外したプラグには気筒の番号をマーキングしておくと良いでしょう。
碍子(ガイシ)には記載せず、六角ナットの部分にマーキングしましょう。
他のプラグも同様に取り外しましょう。
2.清掃
プラグを再利用する場合はプラグの接地電極のカーボンを配線ドライバー等で優しく擦って除去しましょう。
中心電極と接地電極には触らないように注意して下さい。
接地電極の側部は毛先を短く切った真鍮ブラシを使用すると良いでしょう。
真鍮ブラシの先端は5mm程にカットして中心電極に接触しないように注意して清掃しましょう。
清掃後はパーツクリーナーで汚れの除去と脱脂しましょう。
プラグの頭に端子ナットが取り付けられている場合は、緩み易いのでプライヤーで締め付けた後少し潰してカシメておくと良いでしょう。
カシメたら端子ナットが緩まないか確認しましょう。
3.スパークテスト
プラグキャップにプラグを取り付けましょう。
プラグキャップにプラグを取り付けてからボディに確実に接触(アース)させましょう。
イグニッションキーをONにしてセルフスターターのスイッチを押しましょう。
プラグからスパークするかを確認しましょう。
上記画像を拡大すると1番4番と2番3番がスパークしているのが確認できます。プラグを確実にアースさせないとスパークが発生しないので注意しましょう。塗装面は流れない場合があるのでシリンダヘッド等の塗装されていない箇所にアースしましょう。
暗くすると強くスパークしているのがよく分かるかと思います。
プラグキャップからプラグを引き抜いて取り外しましょう。
4.プラグの取り付け
プラグレンチにプラグを押し込んで取り付けましょう。
プラグをシリンダヘッドに当たらないように挿入して手で締め付けましょう。
プラグレンチを左手で保持しながら、プラグの締め付けが固くなった箇所から新品・再使用共に約30度締め付けましょう。
基本的に角度締めで良いですがトルク管理する場合はこちらをご覧下さい。
プラグキャップ内に接点復活剤を吹いておきましょう。
プラグキャップを押し込んでプラグに取り付けましょう。
プラグの頭に端子ナットが取り付けられている場合は「カチ」と感触があります。端子ナットが取り付けられておらずネジ山が露出している場合は「カカカカ」と感触があるので奥まで押し込みましょう。
社外のプラグコードに交換している場合は取り付けし難いので確実に押し込みましょう。
ヒートガードを取り付けましょう。
参考車両の場合はラジエターの爪にヒートガードを取り付けるのですが、取り付けを怠るとラジエターの電動ファンに当たって動作不良を起こす場合があるので確実に取り付けましょう。
取り外したラジエターを取り付けましょう。
取り外したイグニッションコイルのステーを取り付けましょう。
まとめ
- プラグ取り外し時、プラグキャップとプラグに気筒のマーキングをする。
- プラグ取り外し時、プラグホールをエアブローして異物を排出する。
- プラグ清掃時、中心電極と対象の接地電極に接触しないようにカーボンを除去する。
- スパークテスト時、プラグをアースさせてからセルモーターを回してスパークするか確認する。
- プラグ取り付け時、固くなった箇所から新品・再使用共に約30度締め付ける。
Q&A
- エアコンプレッサーを持っていないのですが、エアブローしないとマズいですか?
- 2サイクルエンジンの場合はプラグ周辺を乾燥したブラシで汚れを浮かせて、人間の息で異物を吹き飛ばしてから取り外しを行うと良いでしょう。4サイクルエンジンの場合はバイクショップに交換を依頼した方が良いと思います。プラグホールには小石や砂が入り込んでいる可能性があり、取り外した際にエンジン内部に落ちる可能性があります。実際に2サイクルエンジンでそれが発生してピストンが欠けてシリンダー壁面には縦に1mm程の深さの溝が発生した車両がありました。0.01mm単位で計測するのに1mm程の深さが発生すればシリンダーを交換する必要が出てきます。絶版車ならシリンダーが中古でも出てこない車種もあります。プラグ交換は簡単な整備なのですがエンジン内部に通じる道なので必ずエアブローを行いましょう。バイクショップに依頼する場合には念の為にプラグホールにエアブローしてから交換するようお願いしておくと良いでしょう。
- ゴミが入らない為のプラグキャップでは?
- 理屈ではそうですが、プラグキャップや水が抜ける箇所の隙間から入り込むようで、実際にエアブローすると大量の小石や埃が出てくる場合が有ります。ですので、エアブローは行いましょう。
- マーキングするとき、何故碍子にマーキングしてはいけないのでしょうか?
- マーキングした箇所に電気がリークして茶色く焼ける可能性があるので、碍子へのマーキングは控えましょう。
- 配線ドライバーが無いのですが、マイナスドライバーでもいいですか?
- はい。他にも精密ドライバーのマイナスでも良いでしょう。
- プラグ交換するのにラジエター外すんですか?
- 車種によっては取り外す必要があります。スーパースポーツに多いのですがエンジンを中心にそして下に配置するのがセオリーのようでシリンダーを前傾に配置しています。前傾に配置するとキャブレター(スロットル)やエアクリーナーボックスまで外さないと取り外しが出来ないのでラジエター側からアプローチした方が早いようなのでラジエターを外してプラグを取り外すようにサービスマニュアルより指示があります。今回は撮影の関係上燃料タンク、キャブレターと外して交換しましたが、ネイキッド等の多くは直接プラグコードを外してプラグ交換ができる車種が多いので必要に応じて各パーツを外しましょう。
- 2stのプラグ交換も同様ですか?
- 同様です。シリンダヘッドの形状が4サイクルエンジンと比べて構造上薄いのでアプローチし易く容易に外せるかと思います。異物が入らないようにエアブローだけは行いましょう。
- プラグとシリンダーヘッドにダイスとタップは掛けられないんでしょうか?
- プラグは掛けても良いですがシリンダヘッドにタップを掛けるのは控えましょう。削りかすがエンジン内に入る可能性があるのでタップを掛ける際はシリンダヘッドを取り外してから行います。なのでエンジンOHするなどの機会しか無いでしょう。
- プラグの中心電極と接地電極に触っちゃいけない理由は何でしょう?
- 強度が低いので折れたり変形したりする可能性があるのと、電極に傷が入るとスパーク力が弱まり火種が小さくなる可能性があるので中心電極と接地電極には触らないように十分注意しましょう。
- 作業台からプラグを地面に落としてしまって、接地電極が中心電極側に曲がってしまったようなのですが交換した方が良いでしょうか?
- 交換が望ましいですが、それほど変形していないようならシール外しドライバーやマイナスドライバーを使って接地電極を曲げて元に戻す事もできます。中心電極と接地電極の隙間はシクネスゲージというクリアランスを計測する専用工具を使います。NGKはDENSOと比べて接地電極の強度が低いようで曲がりやすいので修正する際の力加減に注意しましょう。
- スパークテストって、フレームにアースしてますけどエンジンじゃなくていいんですか?
- 電気が流れる回路を作る事が目的なのでエンジンでもフレームでも大丈夫です。尚、塗装されている箇所は電気が流れない場合があるのでエンジンにアースさせると良いでしょう。
- プラグを交換しても1番と4番がスパークしないのですが何が原因でしょう?2,3は正常です。因みにバリオスです。
- 確実にアースして再度スパークテストしてみましょう。イグニッションコイルには3種類ほどあり、1番と4番がスパークしないのは回路が出来ていない可能性があります。イグニッションコイルで発生させた高電圧の電流は1番のプラグの中心電極から接地電極にスパークして、そのままシリンダヘッドを通って4番の接地電極から中心電極に飛んで電気が消費されるという種類があります。参考車両のイグニッションコイルもそのタイプなのですが、1番か4番どちらか1方でもアースされていないと回路が完成されずスパークされ無いので再度確実にアースさせてスパークテストしてみて下さい。
あとは、2気筒ともスパークしないのならイグニッションコイルが故障しているかイグニッションコイルへ繋がっている端子が腐食している可能性もあります。
まずは、全ての端子を外してピンセットの先端に紙やすりの600番程を瞬間接着剤で付けて磨いてから接点復活剤を吹いて改善するか確認してみて、改善されないようならイグニッションコイルの点検・プラグキャップを正常な2,3番のモノと1,4番のモノを入れ替えてスパークテストしてみて下さい。そこまでして改善されないようなら再度連絡お願いします。
- 確実にアースして再度スパークテストしてみましょう。イグニッションコイルには3種類ほどあり、1番と4番がスパークしないのは回路が出来ていない可能性があります。イグニッションコイルで発生させた高電圧の電流は1番のプラグの中心電極から接地電極にスパークして、そのままシリンダヘッドを通って4番の接地電極から中心電極に飛んで電気が消費されるという種類があります。参考車両のイグニッションコイルもそのタイプなのですが、1番か4番どちらか1方でもアースされていないと回路が完成されずスパークされ無いので再度確実にアースさせてスパークテストしてみて下さい。
- 某大手のバイクショップで購入したのですが車載工具のプラグレンチが入りません。純正のプラグレンチではないのでしょうか?
- 純正なのかは分かりませんが、挿入の仕方などを工夫してみて下さい。純正プラグレンチであれば挿入できます。挿入できなければ純正プラグレンチを購入しましょう。
- スパークテストしてたスパーク力って、結構強い感じですか?
- 強いですね。プラグケーブルとイリジウムプラグを使っているのもありますがスパークが弱いものはこの半分くらいのスパーク力です。スパーク力が弱いと全域のトルクが下がりピストンの頭やバルブ、マフラーに煤が溜まるようになり不調になります。
- イリジウムプラグってぶっちゃけ効果あるんですか?パワーアップしますか?
- ノーマルプラグと比べてイリジウムプラグは効果はありますしパワーアップもします。スパークが強くなる事で大きい火種を作る事ができ、混合気がより完全燃焼に近い方向に燃えてくれます。完全燃焼に近づくほど大きな力を発生する事が出来るので結果的にパワーアップします。特にプラグ交換だと低~中回転域のトルクが上がり、パワーケーブルにすると高回転域のトルクが向上します。嘘っぽいイメージがあるかもしれませんが、点火系は一番初めに強化して頂きたいほど効果がありエンジンにも煤が溜まらないのでお勧めです。
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