ガスケットとは
ガスケットは主に、紙、ゴム、メタル、ワッシャー、シールテープ、液体ガスケットがあります。
バイクの様々な液体の関する箇所に利用されており、中には再利用出来るガスケットもあります。
今回は、ガスケットについて解説していきます。
是非、参考にして頂きたい。
目次
ガスケットとは
気密性、あるいは液密性を保つために使用するシール材をガスケットと呼ぶ。
ガスケットの種類
紙ガスケット
紙製のガスケット。
廃盤部品の場合は汎用紙ガスケットを購入して元の型に合わせてペンや光明丹(エンジンの吸排気バルブのアタリを確認するケミカル)で型を取りそれに沿ってカッターでカッティングすると自作が可能です。
2サイクルエンジンでは、ポートタイミングの変更にも紙ガスケットを重ね合わせたり、厚みのあるガスケットを使い行う事が可能です。
再利用基準
基本、毎回新品交換です。
実際のところ千切れるまで、もしくは滲みがあるまで再利用は可能です。
千切れているとそこから液漏れが発生するので必ず交換して下さい。
また、滲みがある場合は現段階は問題無いかもしれませんが寿命が近い証拠なので交換して下さい。
紙ガスケットは自作可能
絶版車であれば、ガスケットが廃盤部品の場合もあります。
シリンダヘッドとシリンダ間等のメタルガスケットは無理ですが、通常の紙ガスケットとOリングは作る事ができます。
紙ガスケットは、汎用ガスケットを使用します。
厚さは様々なので、説明書きを読んで使用箇所に最適な製品を選んで頂きたい。
Oリングは、Oリング作成キットを使用します。
特殊な形のOリングでも対応できるかと思います。当方は使用した事がありませんので詳しくはお答えできませんが、部品が廃盤になった際は使用する事ができるでしょう。
メタルガスケット
金属系のガスケット。
圧力・温度の高い箇所のシールに適しています。
バイクでは主に、シリンダヘッドに使われています。スパークプラグに使用されているシリンダヘッドと接触する箇所も断面がS字のメタルガスケットです。
再利用基準
毎回新品交換です。
廃盤部品になった事を考え、取り付けられていた使用済みのメタルガスケットは廃棄せず保管しておくと良いでしょう。
液体ガスケットを極少量塗布してシリンダヘッドの固定ボルトの締め付けトルクを許容範囲内で最大まで掛けて締め付ける事で排気漏れする可能性は低くなり再使用可能となります。
排気漏れするようなら、使用はできません。
もし廃盤部品の場合の入手方法については代行して入手可能な場合があるのでお問い合わせ下さい。
ノーブランドの製品は粗悪品があるので、出来れば国産のブランド製品がお勧めです。
画像はシリンダヘッドガスケットで、取り付けしたもののガスケットが剥がれてきて冷却水が漏れてきた時の物です。
ドレンワッシャー(銅・アルミ)
オイルパンのドレンボルト、ブレーキホースジョイント部のバンジョーボルト等のドレンボルトには、ドレンワッシャーというガスケットが使われています。
ガスケットに使われるワッシャーは、軟らく潰れやすいアルミ製か銅製が使われています。
再利用基準
基本、毎回新品交換です。
変形していたら必ず交換しましょう。
銅ワッシャーは再利用も可能な場合有り
銅ワッシャーは潰れやすいですが、手元にパーツが無い場合は再利用も可能な場合があります。
バーナーで銅ワッシャーを炙り、若干黒くなったら水平な地面に置き、平らなハンマーで叩くと潰れて平面に近くなります。
装着後は、液漏れが無いか確認しましょう。
ドレンワッシャーは、ホームセンターにも売っている場合があるので、変形したワッシャーを持ってサイズを合わせてみて購入すると良いでしょう。
因みに、エンジンを分解した際に「このワッシャーはどこだったっけ」となった時にアルミか銅であれば、通常エンジン内には使われないのでエンジン外部のワッシャーと判断できます。
Oリング(ゴム)
ゴムのガスケット。
溝が設けられているので、溝にはめ込み取り付けます。
小さい締め付けトルクでも効果を発揮できるのが特徴です。
バイクでは主に、キャブレター本体(上部)とフロートチャンバー間や、サーモスタットケースとカバー間等に使用されています。
再利用基準
基本、毎回新品交換です。
Oリングは潰れると機能を果たさなくなりますので毎回新品交換です。
その都度純正部品を注文するのも手間なので以下に紹介するOリングセットを購入しておくと後々便利です。
キャブレター フロートチャンバーのガスケットは毎回交換する必要があるのか?
キャブレター本体(上部)とフロートチャンバーにOリングが使われている場合、既存の装着されていたOリングが硬化して変形しているとガスケットの役割を果たさずオーバーフロー(ガソリンが漏れてくる)する場合があるので再利用はできません。
経験上、少なくとも半年以内に新品交換したOリングであればセッティング等する際に再利用は可能です。
紙ガスケットが使用されている場合は、滲みもしくは千切れが無ければ再利用可能です。
尚、液体ガスケットの使用は控えた方が良いでしょう。
ガソリンに強い液体ガスケットもありますが、はみ出た液体ガスケットがガソリンと共に流れていく場合がある為です。
キャブレターの縮んだOリングは伸ばして再利用可能な場合有り
キャブレター本体(上部)とフロートチャンバー間のガスケットがOリングの場合、セッティングに何度か外す機会があるかもしれません。
極度にOリングが潰れてはいないがゴムが縮まってフロートチャンバーの溝にOリングが入らない場合は、Oリングを全体的に少しずつ引っ張る事で伸ばす事が出来て溝に合い使用する事が可能です。
持っておいて損はないOリングセット
オイルを使う箇所に使う耐油性のOリングセットです。
バイク用のOリングセットでないとサイズが合わず使えないので注意しましょう。
商品ページはこちら ※リンクはバイク対応品
ガソリンを使う箇所に使う耐ガソリン性Oリングセットです。
主にキャブレタージョイントや燃料ストレーナー等です。
商品ページはこちら
シールテープ
シールのガスケット。
接続部に生じた隙間を埋める為に使用されます。
バイクでは主に、サーモセンサー(冷却水の温度を検出するパーツ)やオイルプレッシャーセンサー等に使用されています。
オイルプレッシャーセンサー等のオイルに接触するシールテープは、油分対応の製品を使用する必要があるので注意しましょう。
再利用基準
基本、毎回新品交換です。
シールテープの多くは水道配管を目的として販売されているので、オイルに接触する箇所には耐油性のあるシールテープを使用しましょう。
液体ガスケット
液体のガスケット。
接合部を密着させて漏れを防止する役割を持ちます。
バイクでは主に、紙ガスケットが使用されている箇所に使用します。
塗布してから一定時間後(大体5分程度)に乾燥して固まり始めるので、塗布したら直ぐに組み付ける必要があるので注意しましょう。
また、取り外しも容易になり作業時間が短縮できます。
再利用基準
毎回新しい液体ガスケットを使用しましょう。
バイクにおける液体ガスケットを使用するパーツには、基本、全て薄く塗布しましょう。多いとはみ出て不具合に繋がる可能性があるので注意しましょう。
液体ガスケットはどれを買えばいい
液体ガスケットはシリコーン系の液体ガスケットを購入すると良いです。
スリーボンドやワコーズが有名所ですが、個人で整備するには量が多いかと思うので、キタコの少量の液体ガスケットチューブもお勧めです。
ショップではワコーズの「液状シリコーンガスケット」とスリーボンドの「液体ガスケット」を使用しています。紙ガスケットには基本全てワコーズの製品を使い、エンジンのシリンダヘッドガスケットとシリンダガスケットに使用しています。
通常、シリンダヘッドガスケットには使用しませんが排気と冷却水の漏れ防止の為に極少量塗布して使用します。2サイクルエンジンですとシリンダヘッドとスタッドボルトの隙間から冷却水が伝って漏れる場合があるのでサービスマニュアルに記載されていなくても塗布は行います。
紙ガスケットを外し易くする為に液体ガスケットを塗布
クランクケースとクラッチ間、クランクケースとオイルパン等の紙ガスケットには、シリコーン液体ガスケットを塗布する事をお勧めします。
次回の取り外しが非常に楽になるだけでなく、再利用も可能になります。
エンジンを修理する際に時間が掛かるのはこべりついたガスケットを剥がす事です。大体、シリンダ・シリンダヘッド・シリンダヘッドカバーのガスケットを除去するのに2時間は掛かります。
シリコーンガスケットを使用すると、取り外しがとても容易になり、エンジン側の付いた液体ガスケットを除去するだけなので作業時間が20分程度まで短縮できます。
パッキンとガスケットの違い
パッキンは動いている箇所に使われているシール材を指します。
例えば、ミッションのメインシャフト・カウンターシャフトとクランクケース間が相当します。
対して、ガスケットは動かない箇所に使われているシール材を指します。
例えば、エンジンとマフラー間が相当します。
違いはありますが、細かに区別せずともガスケットで通じます。
実際現場では、ガスケットと言えば大抵、紙とメタルガスケットの意味になっています。
例えば、「クラッチカバーのガスケット(紙)」「マフラーのガスケット(メタル)」「シリンダヘッドのガスケット(メタル)」という風にです。
その他は、Oリング、オイルシール、液体ガスケット等という単語で会話しています。
バイクにおけるガスケットの使用箇所一覧
※車種によって他にも使われている箇所があります。参考程度にご覧下さい。
エンジン関係
- 4サイクルエンジンのマフラーとシリンダヘッド間
- 2サイクルエンジンのチャンバーとシリンダー間
- シリンダヘッドカバーとシリンダヘッド間
- シリンダヘッドとシリンダ間
- シリンダとクランクケース間
- クランクケース同士の合わせ面
- クランクケースとクラッチカバーの合わせ面
- クランクケースとジェネレーターカバーの合わせ面
- ウォーターポンプカバーとクランクケース側の合わせ面
- オイルパンのドレンボルト
- ウォーターポンプのドレンボルト
- サーモスタットケースの合わせ面
- オイルフィルターとエンジン間
- オイルレギュレーターとエンジン間
- オイルストレーナーとエンジン間
- オイルセンサー
- ミッションのメインシャフト・カウンターシャフトとクランクケース間
吸排気関係
- キャブレターの燃料通路のジョイント連結部
- キャブレター本体(上部)とフロートチャンバーの合わせ面
- 燃料ストレーナーと燃料タンク連結部
- マフラーとエンジン間
- エキゾーストパイプとサイレンサー間
サスペンション関係
- フロントフォーク下部のソケットボルト
- フロントフォークのアウターチューブとインナーチューブ連結部
- フロントフォークのトップキャップ
電装関係
- セルモーターケースの合わせ面
- セルモーターとエンジンの合わせ面
- メーター裏の電球出入口
ブレーキ関係
- マスターシリンダー内部のオイルシール
- ブレーキホースのバンジョーボルト連結部
- ブレーキキャリパーとキャリパーピストンの連結部
丁寧なガスケット除去が良いエンジンに繋がる
ガスケットが残っていると面が均等に接触せず歪みの原因になり、大幅なパワーダウンはしませんがエンジンのフィーリング左右します。
ガスケットの除去は時間がかかり面倒な作業ですが、妥協せず基本に忠実に作業する事が良いエンジンを組むのに繋がります。
まとめ
- 紙ガスケットは、基本、毎回新品交換
- 液体ガスケットを塗布すると密着性が向上し、次回再利用も可能な場合有り
- 廃盤部品の場合、汎用紙ガスケットで自作も可能
- メタルガスケットは、毎回新品交換
- ドレンワッシャーは、毎回新品交換
- 変形していたら必ず交換
- Oリングは、毎回新品交換
- キャブレターのフロートチャンバーのOリングは、弾力はあるが縮んでいる場合、全体的に少しずつ引っ張って装着すれば再使用可能な場合有
- Oリングセットがあるので、持っておくと便利
- シールテープは、毎回新品交換
- 液体ガスケットは、毎回新品交換
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