キャブレターとは
目次
キャブレターとは
キャブレターは3大要素(混合気、火花、圧縮)の1つである、混合気を作り出す装置です。
エンジンは、「吸気→圧縮→点火→爆発」という4つの工程で動いており、エンジン内のピストンも「下がり→上がり→下がり→上がり」の順に上下に往復しています。
ピストンが下がった時、エンジン内に引っ張り込む力(負圧)が働きます。
その負圧を利用して、空気と燃料がエンジン内に引き込まれます。
混合気とは、空気と燃料をミックスしたものを指し、この混合気のミックスする役割をするのがキャブレターです。
スロットルバルブの開閉により、空気の通り道の大きさを変えて、吸入される空気量を調整します。空気量に伴いガソリンも多く噴射しています。
現在新車で販売されているバイクの多くはインジェクションですが、近年までは新車で販売されるバイクの多くが、キャブレターを装備していました。
キャブレターの原理
一般的なキャブレターには、フロートチャンバーと呼ばれる燃料溜りがあり、そこから必要な量の燃料を吸い上げています。
燃料を吸い上げられる仕組みは、エンジン内のピストンの上下による負圧を利用している事で実現できます。
キャブレターの限られた通路を空気が通る際、負圧によって勢いよく空気が吸われていくのですが、空気は流れる空気の流速が上がると負圧が発生するという特性があります。
つまり、キャブレターの中を流れる空気に負圧が発生し、大気圧と圧力差ができることにより、大気圧に保たれているフロートチャンバーの燃料が吸われるのです。(この現象をストロー効果と言います。)
さらに、キャブレターにはベンチュリーと呼ばれる”絞り”が設けられ、さらに通路を狭くすることで、通る空気の流速を上げる工夫がされています。
キャブレーターとインジェクションとの違い
現在主流の電子制御のインジェクション方式は、燃料ポンプで加圧したガソリンをインジェクターという電磁弁を開閉することで、燃焼室にガソリンを噴射して混合気を作り出しています。
つまり、キャブレターのように1つのパーツで混合気は作らず、スロットルで空気・インジェクションで燃料。2つのパーツで分担してエンジン内に混合気を取り入れてます。インジェクションは電子制御なので、アナログなキャブレターよりも細かい調整が出来るで、状況に合わせて最適な混合比の混合気を燃焼室へ送る事が可能です。
キャブレターセッティングの理屈
「燃料1:空気14.7」の割合でエンジンに送り込むと、最も燃焼効率が良いとされます。
これを理論空燃比と呼びます。
キャブレターセッティングの基本は、
理論空燃比から燃料の割合を多くしていくと、パワーが出る混合比になります。
反対に、理論空燃比から燃料の割合を少なくすると、燃費が上がる混合比になります。
詳細は下記表をご覧下さい。
混合比が濃い状態 | 混合比が薄い状態 | |
メリット |
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デメリット |
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キャブレターの調整箇所
一部の調整箇所を紹介しておきます。
キャブレターセッティングは、他にも、パイロットスクリュー・エアースクリュー・フロートの高さ・ニードルの高さ・同調等、セッティングは多くあります。
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インジェクションのセッティング
インジェクションのセッティングは、i-CON等のサブコンピュータを割り込ませる事でセッティングが出来ます。
峠を攻めるときは濃いめにセッティングして、ツーリング時はノーマルにセッティングと、出先でも気軽にセッティングができるのもインジェクションの魅力です。
バイクで使用されるキャブレターの種類
強制開閉式キャブレター(通称VM型)
スロットルと連動して上下するピストンバルブによって、空気の流量を調節します。このとき同時にベンチュリ部の面積も変化します。
スロットルと直接つながっているため、レスポンスがよく、大きさも小さくしやすく、構造は比較的シンプルです。
ただし、アクセルの動きに忠実なため、エンジンの回転に関係なく、必要以上の空気を送り込んでしまうことがあり、ラフなアクセルワークを行うと、息つきや失速しやすいという特徴があります。
後述するCV型に比べ構造はシンプルで小型にしやすいため、50CCの原付バイクなどにはよく使われています。
負圧式キャブレター(通称CV型)
スロットルワイヤーによって開閉するバタフライ式のバルブを開閉させて吸入空気の量を調整し、さらに、エンジン回転数の上昇に伴って発生する負圧によってピストンバルブが上下することでガソリンの流量を決めます。
どちらかと言えば、エンジンの求める燃料を自動的に供給してくれるため、ラフなアクセルワークを行っても、息つきや失速などは起こりにくい特徴がありますが、負圧が高まるまでガソリンの供給量は増えないため、スロットルを開けてから、エンジン回転が上昇するまでにはタイムラグが生じる為、レスポンスはよくありません。
構造は若干複雑になり、部品点数も多くなりますが、扱いやすさという点では間違いないため、市販されているバイクの大半が採用しています。
もちろん上記に挙げた2パターンの中でもさらに細かく分類され、さらに各メーカーとも様々な工夫をこらし、特にカスタムパーツとして市販されているキャブレターの種類は豊富にあります。
キャブレター車との付き合い方
最新のバイクにはフューエルインジェクションが採用されているため、気温や気圧が変化しても、バイクが自分で判断し、点火時期や燃料噴射量、さらには燃料噴射時期までをコントロールしているため、常に安定した性能を発揮することができますし、低燃費や低排出ガスなど、環境にも優しくなりました。
しかし、キャブレター車にはインジェクション車にはない魅力がいくつもあります。
その魅力は、キャブレターが作動するときの機械音、スロットル開閉時に聞こえる吸入音など耳で感じる感覚や、バイクに乗せられているのではなく、バイクを操っているという一体感などは、インジェクション車では味わえません。
ですが、夏と冬のような気温差や、ツーリングで少し標高の高いところに行くだけで変わるコンディションに悩まされることもありますし、インジェクション以上にメンテナンスには気を使わなければなりませんが、セッティングの決まったキャブレター車の加速感と、五感で感じると言っても良い一体感は、一度味わったら忘れられない感覚です。
チューニング目的のアフターパーツはもちろん、純正のままでも清掃や、ジェットやニードルなどの小部品交換するだけでも、あなたのバイクが激変する可能性がありますので、ぜひ、このサイトでパーツを見つけ、挑戦してみてはいかがでしょうか。
まとめ
- キャブレターとは、混合気を作り出す装置。
- キャブレター燃料を吸い上げられる仕組みは、エンジン内のピストンの上下による負圧を利用している事で実現。
- キャブレターセッティングは、理論空燃比より濃くするとパワーが出て、薄くすると燃費が上がる。
- インジェクションのセッティングは、サブコンピュータを割り込ませる事で容易にセッティング可能。
- 強制開閉式キャブレター(VM型)は、スロットルと直接つながっているため、レスポンスがよい。スロットルコントロールは負圧式よりシビア。
- 負圧式キャブレター(CV型)は、ラフなスロットル操作をしても柔軟に対応する。レスポンスは強制開閉式に劣る。市販されているバイクの大半が純正採用。
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