サスペンション系の整備小技集

2020年7月18日小技集,サブ整備記事,サスペンション系

フロントフォークのメタル剥離

フロントフォークのオーバーホールというと、ダストシールやオイルシールばかりに目がいってしまいがちですが、インナーチューブの摺動にスライドメタルというパーツが取り付けられています。確か、昔このスライドメタルが無いフロントフォークの時代があったそうで、このスライドメタルを取り入れた事で相当寿命が伸びたそうで、このスライドメタルを使用する事になったそうです。

左が新品、右が既存のスライドメタルです。剥離が見られます。エンジン内部の4サイクルエンジンに使われているメタルもそうですが、剥離がある場合には交換しましょう。一度もOHされていなければ、40,000km走行した事になります。
フロントフォークOH時には、スライドメタル(アウターチューブとインナーチューブに2つ)交換しましょう。アウターチューブについているメタルは交換できないものもあります。その場合は既存の物を使うか、アウターチューブを新品交換です。

フロントフォークOH時に交換するのは、スライドメタル(名称は違う場合があります)2個、オイルシール1個・ダストシール1個、ストッパリング1個、ソケットボルトのドレンワッシャー1個になります。これを2フォーク分頼んで交換しましょう。

ホイール取り付け前に、フロントフェンダーを取り付け

フロントフォークOH時に、ついつい忘れてしがいがちなのが、フロントフェンダー。ホイールを取り付けて何か足りないと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
フロントフェンダーは、ホイールを取り付けてからでも取り付け可能な車種やパーツもありますが、基本的にホイール取り付け後は、フロントフェンダーは付きません。無理に取り付けようとすると、フェンダーが割れる可能性がありますので、ホイール取り付け前に取り付けましょう。

フォークOHしたら、フロントフェンダー取付を忘れずに。

フォークブーツの損傷は、中に汚れが溜まる場合があるので交換

フォークブーツが千切れてしまったら、下側に残ったフォークブーツの千切れ目から小石やほこり、泥等が入り込んで、ダストシールを痛める可能性があります。フォークブーツが千切れたら交換しましょう。DRCはオフロードバイクのパーツを豊富にラインナップするメーカーですので、オフロード乗りの方はDRCのWEBサイトをご覧になってみて下さい。

フロントフォーク取り付け後は、アクスルシャフトを通して突き出し量を点検・調整

フロントフォークの突き出し量を点検する為に、アクスルシャフトを通して点検しましょう。スムーズに通らず反対側のフロントフォークに当たるようなら、フロントフォーク突き出し量の調整が必要です。

フロントフォーク・キャリパー・ホイールは必ず指定トルクで締め付け

バイクには絶対に外れてはいけないパーツがあると考えます。それは、ブレーキ、ホイール系、サスペンション系(ハンドル含む)です。
ブレーキが外れたら止まれません。
ホイールが外れたりアライメントが狂えば転倒します。
サスペンションが緩みフロントフォークが上がったり、ハンドルが外れたら転倒します。

整備終了後、必ずこの3箇所のボルトの締め忘れが無いかトルクレンチで必ず点検しましょう。

トップキャップの締め付けにはアルミ製・樹脂製の工具の使用がお勧め

最近のフロントフォークのトップキャップには、アルマイト加工されたものもあります。そんな時、通常の鉄製工具を使用するとトップキャップに傷が入ってしまいます。そこで、アルミ製のモンキーレンチを使用すると外す際も取り付ける際も傷が入り難いです。

他にも、サスペンションのチューニングで有名なテクニクスから樹脂製のトップキャップ脱着工具がラインナップされていますので、最小限のダメージに抑えたい方はこちらを使用すると良いでしょう。

フロントフォークOH時は、シールの圧入調整がお勧め

シールの圧入調整とは、オイルシール・スライドメタルの圧入具合を調整する事です。インナーチューブが摺動する際に、オイルシール・スライドメタルが斜めに圧入されていれば抵抗になりますし、寿命も短くなります。均等に入っているつもりでも、意外に0.2~0.3mm圧入具合が異なる場合が有るので、ノギス4ヵ所測り、高い箇所を叩いて均等に圧入しましょう。デジタルノギスの方が分かり易いかもしれません。シンワからリーズナブルな価格でラインナップされています。

フロントフォークOH時、インナーチューブの錆は除去

フロントフォークの点錆や汚れは気になりますよね。サンドペーパー1000番ほどを細長く切り、横方向に磨いて綺麗にしましょう。
車体に取り付け後は、シリコングリスやワックスを薄く塗布すると、サビ防止になります。整備時に素手で触ると汗の塩が付着するとサビの原因になりかねませんので除去目的でも塗布すると良いでしょう。

 

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