バイクのリアブレーキランプスイッチ交換方法

2020年7月17日メイン整備記事,ブレーキ系,難易度:★★☆☆☆,費用:5000円以下

リアブレーキランプスイッチは経年劣化により接触不良が発生してブレーキランプが点灯しなくなる場合や、ブレーキランプスイッチのロッドとアウターの間にダストが溜まることで動きが渋くなり点灯が不安定になる場合があります。

対策としてリアブレーキランプスイッチのオーバーホール、もしくは交換が必要になります。

今回はリアブレーキランプスイッチの交換方法を解説します。
是非、参考にして頂きたい。

整備情報

  • 交換時期: ブレーキランプが点灯せず、原因がブレーキランプスイッチの場合
  • 時間: 約20分
  • 費用: 約1,500円
    • ブレーキランプスイッチ:約1,500円
  • ショップ工賃: 約1,500円
  • 難易度: ★★☆☆☆

作業手順

1.リアブレーキランプスイッチ取り外し

ステップホルダー固定ナット緩めるステップホルダー 取り外し

ステップホルダーの固定ボルトを取り外し、ステップホルダーを取り外しましょう。

マフラー ウエス敷くマフラー ウエス敷く2

マフラーやカウルに傷がつかないようウエスで保護しましょう。

リアブレーキランプスイッチ 調整ナット 回転リアブレーキランプスイッチ 調整ナット 回転2

ブレーキランプスイッチの調整ナットをいっぱいまで調整ナットを上げましょう。

リアブレーキランプスイッチ 本体 取り外しリアブレーキランプスイッチ スプリング 取り外し

ブレーキランプスイッチのスプリングをブレーキペダルから取り外しましょう。
ラジオペンチかスプリングの張力はそれほど強くないので手で取り外しするのも良いかもしれません。

リアブレーキランプスイッチ 本体 取り外し2リアブレーキランプスイッチ スプリング 取り外し2リアブレーキランプスイッチ スプリング 取り外し3

ブレーキランプスイッチのスプリングをブレーキスイッチから取り外して保管しましょう。

ウインカーリレー 取り外しウインカーリレー 取り外し2ウインカーリレー 取り外し3

ウインカーリレーの裏側にブレーキランプスイッチのカプラーが取り付けられているので、作業の支障となるウインカーリレーを取り外します。

ブレーキランプスイッチ カプラー 取り外し2ブレーキランプスイッチ カプラー 取り外し3

ブレーキランプスイッチのカプラーを取り外しましょう。

ケーブルクリップ 取り外しケーブルクリップ 取り外し2ケーブルクリップ 取り外し3ブレーキランプスイッチ ケーブルクリップ 取り付け

ケーブルクリップで配線を保持されている場合はケーブルクリップを取り外しましょう。
上記画像のようなケーブルクリップの場合、マイナスドライバーを割り込ませる事で取り外す事が出来ます。

ブレーキランプスイッチ 配線 取り外しブレーキランプスイッチ 配線 取り外し2

ブレーキランプスイッチを配線ごと取り外しましょう。

配線の通り道(ワイヤリング)を覚えておくと取り付け時の作業がスムーズに進みます。
配線の通り道はサービスマニュアルのワイヤリング図でも確認いただけます。
今回は交換ですが参考車両のタイプならオーバーホールする事も可能です。

2.タップ・ダイス

ブレーキランプスイッチ ステップホルダー タップブレーキランプスイッチ ステップホルダー タップ パーツクリーナー

ステップホルダーの雌ネジと固定ボルトにタップ・ダイスを掛けましょう
タップと固定ボルトに浸透潤滑剤を塗布してタップ・ダイスを掛けましょう。
詳しくは、タップ・ダイスの使い方をご覧ください。

3.リアブレーキランプスイッチ取り付け

ブレーキスイッチ ワイヤリング

配線を指定の位置に通しましょう。

ワイヤリングを間違うとブレーキランプスイッチをステップホルダーに取り付けた時に配線が張って取り付け出来ない場合やリアサスペンション付近に絡んで断線する可能性もあるので注意しましょう。
詳しくは、サービスマニュアルのワイヤリング図で確認して下さい。

ブレーキランプスイッチ カプラー 接点復活剤ブレーキランプスイッチ カプラー 取り付け

カプラーを取り付けましょう。
取り付け前にカプラーに接点復活剤を吹いて接点を保護しておくと良いでしょう。

ブレーキランプスイッチ ケーブルクリップ 取り付け2ブレーキランプスイッチ ケーブルクリップ 取り付け3

ケーブルクリップが使用されていた場合はケーブルクリップに配線を取り付けましょう。
上記画像のケーブルクリップは押し込むことでツメが固定されます。

ブレーキランプスイッチ スプリング 取り付けブレーキランプスイッチ スプリング 取り付け2

スプリングをブレーキランプスイッチに取り付けましょう。

イグニッションONキルスイッチOFF

キルスイッチがある場合はOFFにして、イグニッションキーをRUNにしてブレーキランプスイッチの動作確認をしましょう。

リアブレーキスイッチ 動作確認リアブレーキスイッチ 動作確認2

ブレーキランプスイッチのスプリングを引き、ブレーキランプが点灯するか動作確認しましょう。

ブレーキランプ点灯

スプリングを引くとブレーキランプが点灯します。

テールランプ点灯
スプリングを戻すとブレーキランプが消灯しテールランプのみ点灯した状態になります。

ブレーキランプスイッチ ステップホルダー 取り付けブレーキランプスイッチ ステップホルダー 取り付け2

ブレーキランプスイッチの調整用ナットをいっぱいまで上げ、ステップホルダーに取り付けましょう。

ブレーキランプスイッチ スプリング 取り付け3ブレーキランプスイッチ スプリング 取り付け4

ブレーキランプスイッチのスプリングをブレーキペダルに取り付けましょう。
スプリングの取り付け向きの詳細はサービスマニュアルで確認しましょう。

ブレーキランプスイッチ ステップホルダー 固定ボルト  取り付けブレーキランプスイッチ ステップホルダー 固定ボルト 規定トルク 取り付け

ステップホルダーの固定ボルトを指定トルクで締め付けましょう。
トルクレンチは持ち手の中心線を垂直にゆっくり力を掛けて締め付けましょう。
詳しくは、トルクレンチの使い方をご覧ください。

4.ブレーキランプの点灯タイミング調整

リアブレーキランプスイッチ 調整ナット 回転

ブレーキランプの点灯タイミングを調整しましょう。
ブレーキランプスイッチ上部をつまんで引き上げた後、調整用ナットを回転させて調整しましょう。
詳しくは、ブレーキランプ調整方法をご覧ください。

まとめ

  • リアブレーキランプスイッチ取り外し時、調整ナットをいっぱいまで緩めてスプリング・配線のカプラーを取り外してからブレーキランプスイッチを取り外す
  • リアブレーキランプスイッチ取り付け後、ブレーキランプの点灯タイミング調整を行う

Q&A

  • ブレーキランプスイッチを取り外す際に調整ナットをいっぱいまで緩めてありますが、なにか理由があるのでしょうか?
    • 調整ナットをいっぱいまで上げる事でブレーキランプスイッチの取り外しが容易になります。
  • ブレーキランプの点灯が不安定気味なのですが、どうすれば良いでしょうか?
    • 配線の通りをサービスマニュアルのワイヤリング図で確認して配置しましょう。配線は、適正な位置を通らないとブレーキランプスイッチに負荷が掛かり接点の接触不良になる場合があります。
      ブレーキランプスイッチのロッド部分にホコリなどの異物が付着するとロッドの動きが渋くなるので点灯タイミングが一定にならず、毎回タイミングが早まったり遅まったりする場合があります。ブレーキランプスイッチを分解できれば分解してロッド部分に万能グリスを薄く塗布すると改善しますが、塗布量が多いとスイッチの不具合を引き起こす可能性があるので薄く塗布しましょう。もしくはブレーキランプスイッチを交換しましょう。
  • ブレーキランプが常時点灯しているのですが、どうすれば良いでしょうか?
    • ブレーキランプスイッチの調整ナットがしっかり固定されていない可能性があるので、再度取り付け具合を確認しましょう。
      それでも改善しない場合は、スイッチが故障している可能性があるのでブレーキランプスイッチを取り外して、イグニッションキーをONにしてピンを引き押ししてブレーキランプに変化があるか確認しましょう。点灯が不安定になるようならブレーキランプスイッチを交換しましょう。
      症状が変わらないようなら、ブレーキランプスイッチの配線を取り外してからイグニッションキーをONにしてブレーキランプが消灯するのを確認して、ジャンパー線でプラスとマイナスを繋げて(短絡。ショートともいう。)してブレーキランプが点灯すればブレーキランプスイッチが原因なので交換しましょう。
  • キルスイッチをOFFにしてブレーキランプの点灯確認をしていますが、なにか理由があるのでしょうか?
    • キルスイッチをONにしてイグニッションキーをONにすると、イグニッションコイルに負荷が掛かるので整備で動作確認する際にセルを回さないときはキルスイッチをOFFにしましょう。
  • ブレーキランプスイッチの仕組みはどのようになっているのでしょうか?
    • リアブレーキランプ 調整中ブレーキランプスイッチ 接触
      リアブレーキランプスイッチ
      ブレーキランプスイッチはブレーキペダルと連動しており、ブレーキペダルを踏むことによりブレーキランプスイッチ内部の接点が導通することでブレーキランプが点灯します。

      ブレーキランプスイッチ 調整ナット-2
      調整用ナットを位置を上下に変えることで導通するタイミングを早く・遅くすることでブレーキランプのタイミング調整を行います。

ブレーキ簡単用語解説

  • ブレーキパッド:ブレーキディスクと接触する事で熱エネルギーを発生させる代わりに速度を落とす。キャリパーに装着されている。
  • パッドスプリング:ブレーキパッドにテンションを与えブレーキパッドの脱落防止の役割。
  • パッドピン:ブレーキパッドを保持する役割。
  • ピンプラグ:パッドピン脱落防止の栓
  • シム:ブレーキの鳴き防止とブレーキフルードへの断熱の役割。
  • ブレーキディスク:ブレーキパッドと接触する事で熱エネルギーを発生させる代わりに速度を落とす。ホイールに装着されている。
  • ブレーキキャリパー:ブレーキパッドをブレーキディスクへ押さえつける役割。
  • キャリパーピストン:ブレーキパッドを押す
  • ダストシール:キャリパーピストンとキャリパーの間に配置され、雨水やほこりをキャリパー内に入り込ませない役割。
  • オイルシール:キャリパーピストンとキャリパーの間に配置され、キャリパー内のブレーキフルードを留めておく役割。
  • リザーバータンク:ブレーキフルードを一時的に保管する場所。ブレーキフルードが減少すると外から空気が補充して常に大気圧をちブレーキフィーリング低下を防ぐ。
  • ブリーダー:ブレーキフルード交換時にブレーキフルードを排出する役割。
  • ブレーキマスター:ブレーキフルードを圧送する役割。
  • ブレーキレバー:ブレーキマスターのピストンを押し、ブレーキマスターを機能させる役割。
  • テールランプ::後続車へ走っている事を知らせる車体後方のライト。