キルスイッチ取り外し・取り付け方法

2016年4月8日2020年7月17日メイン整備記事,ステアリング系,難易度：★★☆☆☆,費用：5000円以下

キルスイッチはイグニッションコイルや燃料噴射装置へ送る電気のON・OFFをする役割を持ち、走行中にスロットルが戻らない際に直ぐ停止出来るようにする為の装置です。
キルスイッチの接点が腐食により導通が悪くなるとイグニッションコイルへ供給する電圧・電流が下がり、イグニッションコイルが昇圧する電圧が低くなりプラグから発生するスパークが飛びにくくなり、燃焼効率が低下します。

初期症状としてアイドリングで安定しなくなり、腐食が進むと完全に導通が遮断されるとエンジンは掛かりません。
対策としてキルスイッチの交換・もしくはオーバーホールが必要になります。

今回はキルスイッチの交換(取り外し・取り付け)方法について解説します。
是非、参考にして頂きたい。

整備情報

• 時間： 約25分
• 費用： 約1,500円
  • キルスイッチ：1,500円
• ショップ工賃： 約2,000円
• 難易度： ★★☆☆☆

作業手順

1.キルスイッチ取り外し

キルスイッチから配線が伸びており、配線を辿るとカプラーへ繋がっています。

キルスイッチのカプラーを取り外しましょう。
カプラーはツメで固定されているのでツメを押しながら引き抜きます。
固着している場合は上下左右に揺すりながら引き抜くと良いでしょう。

キルスイッチ下部を覗き込むと、赤矢印のように固定ネジで固定されています。

ドライバーを使いネジを取り外します。
狭い箇所には画像のようなスタッビドライバーを使用しましょう。

キルスイッチを取り外しましょう。

参考車両の配線はキルスイッチ以外にブレーキランプスイッチへと伸びているので、ブレーキランプスイッチの端子も一緒に取り外します。

キルスイッチと配線を取り外しましょう。

2.キルスイッチ取り付け

交換するキルスイッチのカプラー内部に保護目的で接点復活剤を吹いておくと良いでしょう。

キルスイッチの配線を指定の位置に通しましょう。

キルスイッチに突起がある場合はハンドル側にも突起を差す穴があるので突起と穴を合わせましょう。
突起と穴を合わせずに無理に固定ねじを締め付けると、キルスイッチが破損する可能性があるので注意しましょう。

キルスイッチをハンドルに取り付けましょう。

キルスイッチの接地面が接地している事を確認しましょう。

キルスイッチの固定ネジを取り付けましょう。
ネジの締め付け過ぎはキルスイッチが破損の可能性があるので注意しましょう。

キルスイッチの配線を指定の位置に通しましょう。

キルスイッチのカプラーを取り付けましょう。

参考車両の場合、キルスイッチの配線にブレーキランプスイッチの配線も含まれているので、ブレーキランプスイッチの端子を取り付けます。
被覆を画像の「良い例」のように取り付けましょう。悪い例では雨水が侵入し錆・腐食により通電不良になる可能性があるので注意しましょう。

3.動作確認

キルスイッチをRUNにしてエンジンが始動するか確認しましょう。

キルスイッチをOFFにしてエンジンが停止するか確認しましょう。

取り外したカウル類を取り付けましょう。

まとめ

• キルスイッチ取り付け時、キルスイッチに突起がある場合はハンドル側の穴に合わせる。
• キルスイッチ取り付け時、キルスイッチの接地面が接地している事を確認してから取り付ける。
• キルスイッチ取り付け時、配線は指定の位置に通す。

Q&A

• キルスイッチを交換したが、セルが回らないのですが原因は他にあるのでしょうか。
  • 原因はキルスイッチではなく、セルモーター側にある可能性があります。セルモーターが故障している原因は主に4つです。
    

    引用：カタナのセル・スターティングモーター

    • まず、銅色のブラシとよばれるパーツが摩耗しているケースです。セルモーターのオーバーホールといえばこのブラシを交換する事が主目的です。上記画像ではカーボンブラシと記載されている部分です。
    • あとは、稀ですがブラシとホルダーの当たりが悪くて段付き摩耗が発生している場合があります。段付きが発生している場合はブラシを指で押し上げてみると戻りが悪い(もしくは戻らない)ので、戻りが悪い場合はブラシの側面を観察すると段が発生しているかと思うので棒やすりで優しく削っていきます。ブラシは軟らかい素材なのですぐに削れるので削りすぎないよう注意して下さい。
    • あとは、セルモーターにベアリングが使われている場合があり、ベアリングが劣化すると固着して回らない場合があるのでベアリングを交換しましょう。上記画像では軸受けと記載されている部分です。
    • 最後にコミュテーターです。ブラシによってコミュテーターの表面が汚れてしまうので紙やすりの1000番程度で研磨して新しい地を出すように清掃します。削りすぎには注意しましょう。上記画像ではコンミテータと記載されている部分です。
      以上の作業をして頂けると直るかと思います。セルモーターは新品で購入すると非常に高価なのでオーバーホールする事をお勧めします。オーバーホール(上記の作業)で大半のセルモーターは直ります。
• 配線の通り道が分からなくなってしまったのですが、サービスマニュアルを購入するしかありませんか?
  • はい、サービスマニュアルを購入しましょう。英語web版はこちらでご覧頂けますが輸出車両に限られます。
• ducati モンスターなのですがキルスイッチの固定ボルトを取り外したのですが、キルスイッチ本体が外れないのですがどうすればよいでしょう?
  • キルスイッチには車種によって圧入されているタイプがあります。ドライバーの尻で軽く叩いて外しましょう。
    キルスイッチの取り付けの際も圧入しなければならないので、キルスイッチを仮付けして固定ネジを挿入してから交互に締め付けて圧入をしていきます。