バイクのチェーン注油方法

2020年7月17日メイン整備記事,ホイール系

チェーンの注油ポイントは2箇所あります。注油後は余分なグリスをウエスで拭き取りましょう。
チェーンの清掃・注油をおこたってしまうと劣化が早まり、チェーンの寿命は本来の半分以下に下がる場合があるので500~1,000km毎にメンテナンスを行いましょう。

今回はチェーンの清掃・注油方法について解説します。
是非、参考にして頂きたい。

整備情報

  • メンテナンス時期: 500~1,000km
  • 時間: 約20分
  • 費用: 0円~約3,700円
  • ショップ工賃: 約1,500円
  • 難易度: ★☆☆☆☆

※エンジンを始動してのチェーン清掃・注油は、チェーンとスプロケットに指を挟まれて切断になる危険性があるので、必ずエンジン停止状態で作業を行って下さい。

作業手順

1.ドライブチェーンの清掃

チェーン クリアファイル 取り付け2チェーン クリアファイル 取り付け

タイヤに汚れが付着しないようにクリアファイルをスイングアームにテープで取り付けましょう。

クリアファイル ボール

清掃する下にはトレイを置きましょう。
パーツクリーナーやチェーングリスが地面に流れるとシミになります。

チェーンカシメチェーンクリーナー 吹き付け

カシメやクリップの開始位置の目安にし、チェーンクリーナーを全体に当たるように1~2周吹き付けましょう。

チェーンクリーナー(ワコーズ製)は、噴射量が通常のパーツクリーナーより少なく乾きにくい非乾燥タイプなので清掃に適しており、付属の専用ブラシの毛先の硬さが程よいのでチェーン清掃は勿論、その他の清掃作業に役立ちます。

チェーンブラシ チェーン 下側チェーン清掃 タイヤを回す 回転方向

ブラシでチェーン上部・下部・側部の汚れを浮かせましょう。

チェーン清掃 水を流す3チェーン清掃 水を流す

wakosチェーンクリーナーの場合は水で洗い流す事が出来ます
パーツクリーナーを使用する場合でシールチェーンに使用する場合はゴム対応のパーツクリーナーを使用しましょう。
ノンシールチェーンの場合はゴム非対応の一般的なパーツクリーナーで問題ありません。

クリアファイル 取り外し2クリアファイル 取り外し

汚れを洗い流したら一旦クリアファイルを取り外します。

クリアファイル 清掃後
クリアファイルの汚れはウエスで拭くだけで落ちます。

チェーン清掃 ウエス3

ウエスでチェーンの汚れをふき取っていきます
画像では紙地のウエスですが布地のウエスの使用をお勧めします。
紙地は側部を拭く際にピンで繊維が解れてしまうので拭き取り難いです。

チェーン清掃 手

拭き取る箇所は3箇所あり、1箇所目はローラー上部です。
指で押さえ付けて手でホイールを回転させましょう。
ローラー上下を挟み込むとローラーが回転しないのでローラー間に挟まっている汚れが取れないので、ローラー上部だけに力を加えましょう。

チェーン清掃 指位置

2箇所目は、ローラー下部です。
指で押さえ付けて手でホイールを回転させましょう。

チェーン清掃 指位置3

3箇所目は、側面です。
チェーンをを挟むようにして手でホイールを回転させましょう。
見た目を綺麗にする為に行います。

2.ドライブチェーンの注油

チェーンルブ 飛散 クリアファイル 

クリアファイルを取り付けましょう。
タイヤへのグリス付着を防ぐ為です。

チェーンルブ 先端 曲げる

チェーンルブの先端を曲げましょう。
曲げる角度の目安は、約10~15度です。
これにより狙った位置への注油が行いやすくなります。

チェーングリス 注油位置 ローラーとインナープレート間-2チェーングリス 注油位置 インナープレートとアウタープレート間

注油箇所はローラーとインナープレート間、インナープレートとアウタープレート間です。
おおよそ狙い注油すれば拡散して注油箇所に浸透していきます。

チェーンカシメ

チェーンのカシメ・クリップを開始位置の目安とし、タイヤを回転させながらチェーングリスを注油箇所に吹き付けましょう。

チェーンルブ 注油2チェーンルブ 注油3
手前側と奥側で各1周、合計2周の注油を行いましょう
注油後はグリスを行きわたらせる為に約10分放置しましょう。
冬季は約30分が目安です。

※チェーン清掃時に水を使用した場合、チェーンガードのような水に浸透しないタイプは乾いてから注油しましょう。
使用しているチェーンルブは水に浸透するタイプです。

チェーンルブ 注油

注油箇所にピンポイントで注油すると余分にグリスを消費することなく飛散が少ないので綺麗に注油できます

チェーンルブ 余分 除去3チェーンルブ 余分 除去2

ローラー部・側部の余分なグリスを拭き取りましょう。
グリスは浸透し注油箇所に行き渡っているので拭き取って頂いて問題ありません。

3.タイヤの清掃

グリスが飛散してタイヤに付着しているか確認しましょう。
グリスが付着している場合は、中性洗剤でグリスを落とした後に水で洗い流しましょう。
パーツクリーナーで汚れを落とす場合は、グリスを落とした後に布地のウエスでパーツクリーナーの成分を拭き落としましょう。
パーツクリーナーを吹いた箇所は滑りやすくなるのでウエスで成分を拭き落とす必要があるので注意しましょう。

まとめ

  • チェーン清掃・注油時、必ずエンジンは停止して行う
  • チェーン清掃・注油時、クリアファイルでタイヤ周辺を保護
  • チェーン注油後、チェーンの余分なグリスは拭き取る
  • チェーン注油後、タイヤに付着したグリスは薄めた中性洗剤で洗い流す

Q&A

  • チェーンメンテ後に走行したら転倒してしまった。
    • チェーングリスが、タイヤに付着していた事が原因の可能性があります。清掃・注油後は、必ずタイヤを確認してグリスが付着している場合は除去しましょう。
  • クリアファイルでは無く、段ボールでも良いでしょうか?
    • 段ボールでも構いません。クリアファイルだと何回も再利用でき、薄いのでチェーンを回した時に擦れにくいのでお勧めです。
  • 手頃なトレイはありませんか?
    • 本記事で使用しているトレイは、調理用樹脂ボウルでホームセンターで購入できます。ボウルの底が広い製品のほうが他用途のパーツ清掃時に使い易いです。
  •  チェーンのカシメタイプとクリップタイプの見分け方はありますか?
    • チェーンカシメ
      上記画像がカシメタイプです。ピンをカシメてます。
      主に中~大排気量250cc~1000cc以上に使われています。

      引用:キング工房

      上記画像がクリップタイプです。ピンをクリップで止めてます。
      主に小排気量50cc~125ccに使われています。

  • チェーンの掃除は歯ブラシでも良いでしょうか?
    • 歯ブラシでも清掃可能です。
      専用ブラシと比べるとブラシの毛量が少なく長さが短いので清掃しにくく磨き残しが専用ブラシより多く発生します。
      チェーンの清掃は専用ブラシの使用がお勧めです。それ以外で細かい箇所の清掃は歯ブラシが役立つので、チェーンブラシと歯ブラシ(硬さは「ふつう」)の2本のブラシを所有しておくと良いでしょう。
  • チェーンルブのノズル先端を曲げていますが、これによりグリスが出なくなる心配はないのでしょうか?
    • 10~15度程度の曲げなら問題ありません。パーツクリーナー等と違い、ノズルが金属でできているのは狙った位置に噴射する為に曲げるために作られたと取扱店より聞いております。
  • いつもチェーンのローラーの上に注油していたのですがそれは間違っていたのでしょうか?
    • ローラーもスプロケットと接触しているので注油するのは間違ってはいません。注油は潤滑目的なので、金属同士あるいは金属とゴムが接触する箇所に塗布します。
      引用:江沼チェーン製作所 ノンシールチェーン

      ノンシールチェーンは、内外プレートとローラー類、ローラー内側のブッシュとピン、ローラーとスプロケットの抵抗を少なくする事が目的です。

      引用:江沼チェーン製作所 シールチェーン

      シールチェーンは、シールと内外プレート・ローラー類、ローラーとスプロケットの抵抗を少なくする事が主な目的です。

  • お勧めのチェーングリスはありますか?
    • お勧めはLAVENのスーパーチェーンルブPROかWAKO’Sのチェーンルブがお勧めです。LAVENのスーパーチェーンルブPROは糸を引くような濃縮されたグリスで潤滑性能が特に優れているようでチェーンの回りがとても軽くなります。WAKO’Sのチェーンルブは、浸透性があって水が付着している状態でも使えて仕上がりが非常に綺麗になります。
  • シールチェーンはメンテナンス不要と聞きましたが、違うのでしょうか?どちらが正しいのでしょう。
    • シールチェーンはメンテナンスが必要です。
      シールチェーンのシールとはOリングの事で、通常のチェーンと違いチェーンのピンとブッシュ間にグリスが封入されているのが特徴です。そのグリスのおかげでピンとブッシュはグリスによって常に保護されているのでメンテナンスは不要と思われたのでしょう。
      しかし、Oリングの潤滑はどうするのでしょう。Oリングはプレートとカラー・ブッシュと接触しながら高速回転するので潤滑しなければOリングは千切れて飛びます。
      結果、Oリングが無い事でグリスが漏れ出してしまいます。
      シールチェーンで注油する箇所は、主にOリングで千切れないように潤滑する事が目的なので、シールチェーンのメンテナンスは必要です。

ホイール簡単用語解説

  • ホイールカラー:ホイールとフロントフォーク・スイングアームの間に取り付け隙間を埋める役割
  • アクスルシャフト:ホイールを保持する役割
  • ダストシール:異物と雨水をホイール内部への侵入を防ぐ役割。雨水はグリスによって侵入を阻止している
  • ハブダンパー:ホイールとドリブンフランジ間に配置されている動力の衝撃してホイールへ伝えるパーツ
  • ドリブンフランジ:スプロケットとホイールを繋ぐパーツ
  • スピードギアボックス:スピードメーターのスピードを計測するパーツ
  • チェーンアジャスター:ドライブチェーンの張り調整を行う調整器
  • チェーンスライダー:サスペンションが上下した際、フレームへの干渉を防ぐパーツ

 

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